RICE POTコメ離れが進んで一人当たりの消費量が40年前の約半分になったとは言っても、日本人の主食といえばやはり米です。我が家でも基本は米食で、特に平日は弁当も含め3食とも白米をほぼ毎日食べています。私自身はかなりパンも好きな方だと思うのですが、米の方が腹持ちがよく、おかずを選ばず何にでも合い、またあまり主張しない味なので飽きが来ない、というのは特に日本人にとっては間違いのないところではないでしょうか。

そんな日本の家庭にはご飯を炊くための炊飯器というものが欠かせないものです。もっともポピュラーなのは電気炊飯器でしょうが、安いものは数千円程度からあり、また高級なものでは90日かけて焼き固められた炭でできた釜を使った三菱電機本炭釜NJ-WS10というような8万円もするような高級品まで実に様々なものが売られています。これも「とりあえず毎日の食事のために食べられればいい」というような人もいれば、「毎日のものだからできる限り美味しく食べたい」というような人もいるからなのでしょうが、どの炊飯器も電気製品としての基本性能は大差なく、その価格差はほとんど使用されている釜の違いによるもののようです。

私の場合米に関しては「そこそこ美味しければあまりこだわらない」というようなところなので、これまでは2万円台の電気炊飯器を6年ほど使っていました。しかし、米を研いだ後に水を入れ忘れて空焚きさせてしまうということを何度かやってしまったためか、釜の内側のフッ素コーティングがぼろぼろと剥がれて汚らしい状態になってしまい、また内蔵の時計に使用している電池の寿命で交換が必要になったものの自分では交換できずわざわざサービスセンターに持ち込む必要があるというおかしな設計に呆れていたということもあり、このたび買い換えることにしました。

米を炊くには電気炊飯器以外にもガス炊飯器や普通の鍋を使って普通のガスコンロで炊く方法などもありますが、我が家の場合は昨年交換したガスコンロに炊飯機能があり、ボタンでセットするだけで自動的に火力を調整して蒸らしの時間まで教えてくれるという優れものなのでこれを使わない手はありません。普通の鍋でも炊けると説明書にあるので、とりあえず専用の鍋を購入する前に手持ちの鍋で炊いてみよう、と2度ほど炊いてみました。しかし、最初に使ったのは無水鍋だったので圧抜きの穴がなく途中で蓋をずらさなければならずこれは面倒、その次の鍋は肉が薄すぎたのか上手く炊けず焦げ付かせてしまい、やはり専用の鍋の方が楽で安心か、ということであちこち探してみたものの、片田舎なのでなかなか売っている店がありません。と、ふとAmazonの存在を忘れていることに気付いて調べてみるとあるではないですか。最初からAmazonに頼っておくべきでした。

ということで今回注文したのは宮崎製作所という会社の、その名も「RICE POT 炊飯鍋」です。上位モデルはチタンが使われていたりフッ素樹脂加工が施されていたりするのですが、そこまでこだわらなくても、ということで一番安いモデルを選びました。注文から2日で届いてしまうのですから、やはり便利なAmazon、地方在住者には堪りません。

電気よりもガスの方が格段に美味しいとはいうものの、専用の鍋で炊いたものは一体どれほどのものなのかと期待に胸を膨らませながら早速炊いてみました。といってもセッティングは妻ですし、火加減はコンロ任せなのですが、少なくともボタンを押したのは私です。炊き上がりまでの時間は電気釜よりもかなり短く蒸らしも含めて30分程度なので、タイマー機能などがなくても大して困ることもなく、十分に待っていられる時間です。

で、コンロの合図と共に蓋を開けて炊き上がった米を見てみると…見事に米が立っています。美味しく炊けたご飯を「米が立っている」というのは比喩的な表現なのかとこれまでは思っていましたが、本当に米粒が縦になっているのを見たときはちょっと感動してしまいました。食べてみるとこれまでの電気釜で炊いたものとは明らかに食感が異なります。実は最初は水の量がやや多かったのか柔らかめになってしまったのですが、そういうときでも全体的にベチャッとくっついた状態になってしまうのではなく、舌の上で一粒一粒がはっきりとわかるような状態を保ちつつその粒が柔らかいということになり、これまでにはなかった感覚です。水の量をちょっと減らした2回目は思った通りに上手く炊け、米の一粒一粒を味わいながら食べることができました。また、米粒の間にたくさんの隙間があるためか、冷めてしまった後も固まってしまうようなことがなく、特に温め直さなくてもそのまま食べられてしまいます。会社から帰宅したあと遅い夕食を一人で取らなければならない私のような人にとって、電気釜のような保温機能がないということはマイナス点かと思っていましたが、これならば全く問題にならないのではないでしょうか。

ということで、「ガスの方が格段に美味い」というのは事実のようです。まあ、上記の本炭窯のような高級電気釜で炊いた米は食べたことがないのでそれとは比較できませんが、これまでに食べたどの米よりも美味しかったというのは間違いありません。自動炊飯機能のない普通のガスコンロでもこの鍋を使って炊く方法は鍋の説明書にも載っていて可能なので、美味しいご飯のために多少の手間は厭わないという人にはぜひ試していただきたいと思います。私や妻はその手間を惜しむ人なのでとてもそんなことをする気にはなれませんでしたが、そういう私たちと同じ種類の人にはコンロを買い換えるときに炊飯機能のあるものを選ぶことをお勧めします。この米の美味しさは鍋の力なのかコンロの力なのかよくわかりませんが、毎日食べるもののことですし、私はとにかく大満足です。