中日本高速道路東名高速で東京・名古屋方面を行き来している人や名神高速と北陸道とを乗り継いでいる人にはお馴染みかと思いますが、東名高速の豊橋付近と北陸道の米原付近には「検札所」というものがあります。もともといわゆる「キセル」と呼ばれる不正通行を防止するために設けられたもののようで、一般の人は単に通行券を渡してチェックしてもらうだけのものですが、いいペースで走っているときにいちいち停止しなければならないというのが気分的にいいものではありませんでした。ましてや通行量の多いときなどはこのために渋滞してしまっていることもあり、全く不快なことこの上ないというだけでなく、実に不経済な存在だったのではないかと思います。

日本道路公団が分割民営化された効果なのか、これらの検札所を管轄することになった中日本高速道路株式会社もようやく柔軟な対応を取ることができるようになり、「東名高速『豊橋本線料金所』・北陸道『米原本線料金所』を廃止します」という発表が行われました。リリースによればその時期は今年5月31日の12時限りということであり、驚くほど迅速な対応なのですが、その気になればいつでもできたのかという気にもなってしまいます。

これら2カ所の本線料金所の廃止によって、年間約950万台の停車が不要となるとともに、年間約1億3千万円の運営経費が削減できるものと考えています。

ということですが、費用対効果を考えればない方がいいということは分かり切っていたことであって、お役所の硬直化した組織ではこれまでどうしようもなかった、というより改善しようという意識も働かなかったということなのでしょう。ただ、特に豊橋の改札所の方はかなり大規模なもので、そこで働いている人もたくさんいるのではないかと思いますが、これらの人達が今後どうなるのかということも若干気になるところです。

実はETCがあれば検札も減速して単にETCのゲートをくぐるだけなので、いちいち通行券を渡して…というよりは不満も少ないのですが、そもそも機器が車両に固定されたETCではキセルのやりようもないわけで、そういうETCの普及も今回の決定の大きな理由になっているようです。本当かどうかはわかりませんが豊橋でのETC利用率は80%を超えているということですから、それに対応するためにETCのゲートを増設するとなると相当の費用がかかるわけで、そのために民営企業としては決断を迫られたということなのかも知れません。

また、料金所を2カ所無くすことで年間1億円以上も経費が削減できるのなら、いっそのこと料金所など無くして完全無料化してしまった方が…というのは誰でも考えることでしょうか。せっかく設置したETCゲートも元を取ることを無く撤去されるのかと思うとそれももったいないような気がしてしまいますが、残しておいても別に誰に利益を生むものでもないのですよね…ということはもともと存在自体が全く無駄であったということでしょうか?

まあ何はともあれ、利用者の利便性が向上する方向への変化ということで、毎年何度か豊橋を通過する私としても歓迎したいことです。