締めくくりは壮大なる無駄遣い。
先日は最初のAvengerことキャプテン・アメリカを観たところですが、個性的なメンバーの集まるAvengersの中でも特に目立つのはアイアンマンでしょう。大富豪でありかつずば抜けた知力も持つTony Starkが自分で作ったあのメタリックな赤いスーツが、とても頑丈で、強い力を持ち素早く動き、さらに空を飛ぶこともできるというのは何とも夢のあるものですが、ちょっとずるいような気もしますね。しかしそのTonyも常に順風満帆というわけではなく、前回のAvengers結集しての戦いで不眠症やパニック障害に悩まされているというのが人間的で身近に感じさせるのかもしれません。今回の「アイアンマン3」のTonyはそんな状況です。
Iron Manがちょっとユニークなのはスーツが1種類に限られておらず、Tonyが趣味として次々開発しているところではないでしょうか。これまでのシリーズでもスーツケースから変形するMark Vなど、様々な改良が加えられたスーツが登場していましたが、今回は様々な特徴を持つかなりたくさんのスーツが登場します。特に今回活躍するのはMark XLIIで、いくつかのパーツに分かれていてそれぞれが独自に飛ぶことができ、遠隔地から呼び寄せることができます。しかしまたこれが完璧ではなく、途中で障害物に当たってしまって狙ったタイミングで装着できなかったりするのが愛嬌のあるところです。
他にも途中で何度かクスリと笑えるところやそれ以上に笑い声が上がるところもあり、しかし一方でシリアスな場面もあって、まさしく娯楽作品としては極上の出来ではないかと思います。派手なアクションやかっこいいメカだけではなく、しっかりしたストーリーと細かい仕掛けがあってこそ、これだけ楽しめる作品になるのではないでしょうか。
クライマックスではこれでもかというほどスーツが登場して派手な戦いになるのですが、ここで私がちょっと腑に落ちないことが2点あります。まず、Tonyの相棒であるJ.A.R.V.I.S.が万能すぎることです。どういう形で忠実さを担保しているのかわかりませんが、一歩間違えば人類にとってとんでもない敵になりかねません。もう一つはあくまで民間人のはずのTonyが相当な数の敵の命を奪ってしまっていることです。強いて言えば正当防衛と言えなくもありませんが、ちょっとやり過ぎな感じが否めません。本来であればSWATなり軍なりが登場すべきところなのでしょうが、それでは歯がたたないのでIron Manに登場願うしかないということなのでしょうか。まあ正義の味方というのはそういうものかもしれませんが。
また最後は何とももったいない終わり方をしますが、さらにそのあと、スタッフロールのあとにも1シーンありますので注意が必要です。Avengersの各作品ではよくあることなので私は予期していましたが、通常スタッフロールが始まると皆席を立って行ってしまうアメリカでは珍しく半数以上の人が残っていたので、知られていたことなのかもしれません。それほど大した内容ではありませんが、こういうものは見逃してしまうと後悔するものですよね。