Edge of Tomorrow - Tom Cruise as William Cage継続は力なり。

洋画には邦題というものがつきもので、どうしてこうなってしまったのかというような酷いものが付いてしまうことがたまにあります。そもそも発端からして当時流行っていた「沈黙の艦隊」に似せただけという、本来はシリーズですらないSteven Seagalの「沈黙シリーズ」などは酷い例ですが、最近では原題”Gravity“に付けられた「ゼロ・グラビティ」というのもどうかと思うような一例です。

つい先日公開されたTom Cruise主演の”Edge of Tomorrow“も邦題が「オール・ユー・ニード・イズ・キル」なのだと知った時はてっきり同じような例なのかと勘違いしてしまい、「どうしてこんな…」と思ってしまいました。しかし実際は桜坂洋氏による小説「All You Need Is Kill」が原作になったもので、映画は邦題の方が原作に忠実だということになりますが、たまにはこういうこともあるということです。

All You Need Is Kill (JUMP j BOOKS)

この作品のストーリーはというと、異星人の襲撃を受けてヨーロッパ大陸を中心に制圧されてしまっている状況で、本来は文官であるにもかかわらず戦地に送られてしまった主人公William Cageは敵を一体倒すもののあえなく戦死してしまいます。しかしその次の瞬間に前日に前線基地で目を覚ました時の状況に戻ってしまいます。その後も何度もそれを繰り返して死ぬ度に元の時間に戻るのですが、本人の記憶だけは残るため、まったくの素人だったWilliamも経験を積んで徐々に強くなっていくというわけです。

こういう設定はどこかで…というと、まったく状況は異なりますが、目覚める度に同じ日に戻っているというのは「恋はデジャ・ブ」にそっくりです。あちらは普通に眠りについた場合も同じ朝目覚めることになる点が異なりますが、その他の点では酷似していると言ってもいいのではないでしょうか。さらにこれよりももっとよく似た作品も他にあるようなので、ネタとしては特に新しいものとはいえないのかもしれませんが、ヒロインの存在や他の味付けの部分がうまくいっていて、とても楽しめる作品になっていると思います。
Edge of Tomorrow - Emily Blunt as Rita Vrataski
そのヒロインRita VrataskiはEmily Bluntが演じていますが、強くクールで凛々しい女性で素晴らしく、私はこういう人にも憧れてしまいます。作品中に登場するポスター等にも採用されている伝説的戦士なのですが、きっと士気向上に大きな役割を果たしているだろうなあと感じます。一方、Tom Cruise演じる主人公William Cageは最初は非常に情けない男ですが、途中からはTomらしさを発揮して無敵の強さを見せています。なお、Ritaの名前は原作通り、Williamの名前は本作で変えられていますが、原作での「キリヤ・ケイジ」の下の名前がCageという姓に変えられて残されているようです。Williamとキリヤも似ているような気もしますね。

ということで、Ospreyを4ローターにしたようなヘリや戦闘用エクソスケルトンなどのメカもかっこよく、作中で大きな割合を占める戦場でのシーンを盛り上げていますが、ドラマの面も疎かにされてはおらず、私はなかなか気に入りました。残念ながらアメリカでの初週の興行成績ランキングは1位とはならなかったようですが、SF戦闘アクション映画の好きな人は観るべきかと思います。