思っていたよりも上級者(?)向け。
最近映画を観るときに上映される予告で気になっていたのが、Luc Besson監督でScarlett Johansson主演の「LUCY/ルーシー」という作品でした。日本でも8/29公開ということですが、あまり話題になっていないようなのはなぜでしょうか。まあそれは私が気付いていないだけなのかもしれませんが、Luc Bessonの個性的な作品に期待して観てみました。結果、それはある意味期待以上だったとも言えます。
物語は台湾の台北から始まります。主人公のLucyはアメリカの親元を離れて台北に留学しているのですが、そこで知り合った新しいボーイフレンドに嵌められて、CPH4というドラッグの運び人に仕立てられてしまいます。そのドラッグを腹部に埋め込まれて海外へと運ばされることになってしまうのですが、その前に暴力を受けた際にドラッグの入った袋が裂けて大量の薬物を摂取したことにより、Lucyの体に大きな変化が起こり…というような話です。
ドラッグを摂取したからといって物理法則を無視するような変化が起こることはないだろう、というのはあくまでお話なので置いておくとしても、終わり方が今ひとつというか、脚本を書いていてどう終わらせたら良いのかわからなくなってしまったかのような感じでした。しかし、ひょっとすると実は私にも理解できていない深い意味があるのかもしれず、上級者向けなのではないかとも思いました。
映像表現として面白かったのは、Morgan Freeman演じるSamuel Norman博士の発表などに合わせて、プレゼンそのもののようなイメージ映像が挿入されていることでした。テレビ的とも感じられる表現でしたが、このイメージ映像に色彩豊かで鮮やかな自然のものが多く使われていたため、暴力的で陰鬱にもなりがちな作品全体に彩りを与えているようにも感じました。
主演のScarlettは未だに「『ロスト・イン・トランスレーション』の」という枕詞を付けられてしまうことを嫌っているそうですが、確かにそんな10年以上前の十代の頃に出た作品で未だに評価されるのは不本意でしょう。その後数多くの作品に出て存在感を示しているというのに、あんまりな扱いです。この作品ではまるでScarlettのファンのための作品と言ってもいいほどのものとなっていますが、それに十分応えることができているようです。
全体的な作品としての評価は微妙なところですが、興行的にはまずまずの成功となったようです。しかし、私が観ていた時には観客席の一部から笑いが起こっていたのですが、それがなんだか冷たいものに聞こえてしまったのは私の考え過ぎなのでしょうか…単に私が作品について行けなかっただけなのかもしれません。