Guardians of the Galaxyかっこいいだけじゃダメ。

話題作同士はわざとぶつけてくるのかどうかわかりませんが、だいたい観たい映画というのは時期的に集中してしまうことが多いような気がします。この夏も毎週のように興味を引かれる映画が公開されていて、かといって全て見るというわけにもいかないのである程度の取捨選択が必要になり、諦めなければならない作品も出てきてしまいます。しかしそんな中で、私としては全く注目していなかった「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」という作品がRotten TomatoesTomatometerで92%という非常に高い評価を得ており、見逃してはならないという思いにかられて次男を連れて観に行ってきました。もちろんTomatometerが全てとは思っていませんが、客観的には信頼できるのではないかと思います。

ストーリーとしてはそれほど凝ったものではありません。少年時代に母親を病気で亡くした主人公Peter Quillはその直後に宇宙海賊に誘拐されて育てられます。その26年後、それが何であるかを知らず売るためにある球体を盗み出したQuillは、それを取り戻そうと送り込まれた暗殺者Gamoraに襲われ、そこをさらに賞金稼ぎのRocketGrootに襲われますが、最終的には皆当局に捕まって監獄に送られます。その後いろいろあり、彼らは手を組んで脱走を企てますが…というような感じです。
Guardians of the Galaxy - Chris Pratt as Peter Quill / Star-Lord
ビジュアルとしては、遺伝子操作されたアライグマであるRocketと、木のようなヒューマノイドGrootがユニークで目を引きます。見た目は可愛らしいRocketですが口が悪く、勇敢で知性もあり侮れません。Grootも喋れるものの語彙が”I am Groot”の3語しかないのですが、そのイントネーションの違いなどからRocketにはそれで言いたいことが伝わるらしい、というのも面白い設定です。

主人公のPeter Quill役はLEGOムービーでも主人公のEmmetの声を演じていたChris Prattです。ただかっこいいだけでなく優しげでとぼけた感じもあるのが役に合っているのではないでしょうか。Gamoraを演じているのはZoë Saldañaですが、アバターで青色の異星人を演じていた彼女が今度は緑色の肌です。今後もそういう役ばかりが続かないといいですが。

この作品で印象的な役割を果たしているのが音楽です。それも70〜80年代のポップミュージックで、Quillが母親を亡くす前からカセットテープWalkmanで聞いていたものを、その後もずっと手放さずに聞いているのです。作品中でも挿入歌としてふんだんに使用されており、この作品全体の雰囲気にも大きく影響しているのは間違いないと思います。このテープという設定でサウンドトラックも発売されていますが、これもなかなか良いです。

Guardians of the Galaxy

この作品もMarvelのコミックを原作とするものですが、これについては映画を知るまでは全く名前も聞いたことがありませんでした。しかし、原作を知らなくても映画として非常に面白く楽しめるものになっており、幅広い年齢層に受け入れられているのではないでしょうか。ただ、周りが笑っているのに何が面白いのかわからない場面もあり、言葉の壁だけではなく文化的なものもあるように思います。その辺りをどのように字幕や吹き替えで日本人にも理解できるものにするのか、私には全くわかりませんが、それが翻訳家の腕の見せどころなのでしょう。