FlashAirやはり大きな画面で見ないと。

私が初めてデジタルカメラを購入したのはちょうど長男が生まれたばかりの頃なのでおよそ15年ほど前、ようやく一般人の手が届く価格になったという頃でした。当時4万円ほどで購入したのではなかったかと思いますが、今ならPCの壁紙にもならないような画素数とアイコンにしか使えないような画質の代物でした。それからの進化は目覚しいもので、今ではカメラといえばデジタルが当たり前、コンパクトカメラが存在意義を失うほどの性能のカメラがスマートフォンという名の携帯電話にも内蔵されるようになってしまいました。

カメラがデジタルになることによって得られた利点はいくつもありますが、素人カメラマンとして私が特に感じているのは、撮影可能枚数が圧倒的に増えたこと、1枚あたりのコストが圧倒的に下がったこと(消去すればほぼゼロ)、結果がすぐに得られるようになったこと、の3点です。最初の2点によって写真を撮ることに対する敷居がグッと下がり、ちょっとした事でもすぐに写真に収めようとみんなが携帯電話やカメラを掲げるようになってしまったのは良いことかどうかわかりませんが、旅行先などでシャッターを切ることをためらわず、とりあえず撮っておいて要らなければ放っておけばいい、ということで後で後悔するようなことは減ったのではないかと思います。

また3点目の結果がすぐに得られるというのは、撮影直後にカメラですぐにプレビューできるので記念写真などで誰かが目を瞑っていたりそっぽを向いていたりということが防げる、ということもありますし、旅先から帰ってDPE店に現像を頼んで待たなければいけないということがなくなりすぐに皆で楽しめる、ということもあります。DPEも15年前の時点ではすでに注文から受け取りまで1時間を切るように進化していましたが、店が開いている間にわざわざ持って行って取りに行かなければならないという点は変わりませんでした。デジタルならプリントするにしてもインターネットで注文できてしまいます。

しかし、贅沢というのはすぐに慣れてしまうもので、カメラで写真を撮ったらすぐにその場で大きな画面で見たい、という風にも思ってしまうものです。また、写真の活用方法も大きく変わり、一眼レフなどで撮った写真もInstagramなどネットの共有サイトに投稿したい、などという事も考えてしまいます。そうした需要にもまた応えられてしまうのが技術の進歩の恐ろしいところで、メモリーカードでありながらWi-Fiの機能を持っていて撮影した画像データをスマートフォンやタブレットで閲覧、ダウンロードできてしまうというカードが登場しました。それが東芝FlashAirという製品です。

TOSHIBA FlashAir SDHCメモリカード Class10 UHS-I 32GB SD-AF32GWF(FFP)

メモリーカードにWi-Fi機能を内蔵したのはこの製品が初めてではなく、おそらくEyefiという製品が先にありました。しかし、FlashAirはEyefiとは大きく異なるものです。というのは、EyefiがWi-Fiのクライアントとして動作し、Wi-Fiのネットワークに接続してクラウドサーバーに画像データをアップロードすることを主な機能としているのに対し、FlashAirはWi-Fiのアクセスポイントとして動作し、スマートフォンやタブレットでそこに接続するというネットワーク形態になるのです。これらにはそれぞれ長所短所がありますが、EyefiはWi-Fiに接続できる環境にないと役に立たず、例えば山の中で撮影した写真をその場で見たい、ということには使えないわけです。一方、FlashAirに接続するためには他のネットワークとの接続を切断しなければならないという問題はありますが、それはすぐに解決できることで、ちょっと面倒という以上のものではありません。

メモリー容量は8/16/32GBの3種類ありますが、私が購入したのは32GBの製品で、$40前後なのでただのメモリーカードと比較すると若干高いものの、機能を考えれば全くお手頃ではないでしょうか。また、8GBの製品でも$27程度していますので、もう容量の違いで価格差をつけるのは難しいのではないかとも思えます。むしろ32GBに一本に整理してしまった方が各種コストを圧縮できて良いような気がします。まあそんなことは私が気にするようなことではありませんが。

私はiPadとの組み合わせで使用するために購入しましたが、iOSAndroidには公式アプリが提供されており、これらを利用して便利に利用できるようになっていますが、標準のブラウザでもアクセスすることができるので、アプリをインストールしていない状態でも、その他のスマートフォンやPCなどからでも利用できます。接続するためにはWi-Fiの接続先をFlashAirのものに変更し、アプリを起動するか専用のURL (http://flashair/)にブラウザでアクセスするだけです。また、連携アプリというものもいろいろ作られていて利用できるようです。

難点というほどではなく、そもそもこの製品の問題でもないものの、使っていてちょっと気になるのはカメラのオートパワーオフでWi-Fiも止まってしまうということです。iPadで悠長に閲覧していると、そのうちカメラの電源が落ちていて止まってしまう、ということがたびたびありました。これはカメラ側のオートパワーオフの設定時間を長くしておけば済む話ですが、そうすると今度はバッテリーの持ちが気になってしまいます。ケチな私はどうも落ち着かないのですが、このカードによるバッテリーの消費自体は気にするほどの影響はないようです。カメラの電源が入っている間、接続していないのに無駄に電波を飛ばしているのが気になる、ということであれば、メモリーに最初から入っている1枚目の画像の消去保護の仕組みを利用してWi-Fiのオンオフを切り替えられるようになっているので、必要なときだけオンするようにこまめに切り替えれば良いでしょう。

私はこれまで写真はRAW形式でのみ保存するようにしていましたが、このカードを使う上ではiPadですぐに見られるようにしたいのでJPEGでも同時に保存するように変更しました。これによって撮影枚数は減ってしまいますが、さすがに一日でそこまでたくさん撮ることはありませんので、一日の終りにPC等に移すようにすれば良いことですね。最近はバックアップのためにメモリーカードから画像は消さず、いっぱいになったらカードを替えるようにしていたのですが、それもやり方を変えて別のカードにコピーしていくようにしました。以前はカードがいっぱいになる度に買い足していくなんて笑われることだったかもしれませんが、カードもこれだけ安くなるとバックアップメディアとして悪くありませんね。