Royal Caribbean International初めて尽くし。

日本にいる時から平均よりは旅行好きの部類に入る我が家だったのではないかと思いますが、アメリカ赴任以来、期限付きの滞在なので長期休暇はどこかへ行かなければ損をするような気がして旅行の予定を組んでしまいます。この年末もどこへ行こうかという話になりましたが、ミシガンの冬の寒さを逃れたいという思いでどうしても暖かい南へと向かうことになってしまいます。ただ、2年連続フロリダへ行ってしまったので、今年こそは妻の念願でもあるメキシコのビーチリゾート、カンクンでのんびりというのが有力な案でしたが、それでは大きくなった子供たちがいい顔をしないので、それならということで浮上したのがカリブ海クルーズというものでした。これには特に次男が乗り気になり、また長男もそれならいいということなので決行することにしました。

しかし私達が利用できるような大衆向けのクルーズにも様々な運行会社とそれぞれ数多くの船があり、絞り込むのがなかなか大変でした。特に日本人家族に人気が高いのはDisney Cruiseで、評価サイトでの評判も非常に高いのですが、料金も際立って高く、また基本的に小さい子供のいる家庭向けなので、ディズニーキャラクターには見向きもしない我が子らには全くもったいないだけです。別のCarnival Cruise Linesという会社は手頃な価格でのサービスを売りにしているようですが、せっかくの特別な機会なのであまり安っぽいもので日常の延長になってしまってはそれももったいないものです。ということで、それらの中間をとってというわけではありませんが、クルーズ船の大型化の急先鋒でもあるRoyal Caribbean Internationalをまず運行会社として選択しました。

そしてここから運行ルート、すなわち乗る船を選ぶのがまた一苦労です。クルーズと一口に言っても2泊程度の短いものから2週間以上にもなる長期のものまで期間も様々、そして寄港地も様々あって、さらに運行されている船もそれぞれ異なるために利用できる施設なども違います。その上で、毎日同じようなコースが運行されているわけではなく、出発した船が帰ってこないと次のクルーズは始まらないので、自分の休暇の都合とも照らしあわせて、最大公約数のような最小公倍数のような、非常に難しい決断が必要でした。結局その上で選んだのがLiberty of the Seasという船でした。年末のハイシーズンということでその2週間前と比べると2倍以上もの料金差があり怯みますが、さすがにそんな時期には行けないので考えても仕方ありません。
Liberty of the Seas
私が申し込んだのは9月の終わりごろでしたが、その時点ですでに家族4人で利用できる船室の選択肢は限られつつありました。船内の通路の内側で窓のない部屋、外側で窓のある部屋、さらにバルコニーのある部屋、そしてその上に各種スイートとがありますが、さすがにスイートには手が届かないものの、今回はおそらく家族4人での最後の旅行になるので精一杯の贅沢をしよう、ということでバルコニー付きのSuperior Ocean View Stateroom with Balconyという部屋を選ぶことにしました。この時、バルコニー付き4人部屋は残り数室だったので、もう少し遅ければ他のタイプか、あるいは他の船を選ばざるを得なかったでしょう。

クルーズの出発地は2年前にも目的地の一つとして訪れているフロリダ州フォートローダーデールです。そういえば前回、巨大なクルーズ船が次々やって来るのを見て驚嘆したものですが、今回はまさにそのうちの一隻に乗ろうとしているのでした。出航は夕方6時の予定なのでデトロイトは当日出ても間に合いそうなものですが、飛行機の出発が遅れがちになる冬、万が一にも船に乗り遅れるようなことがあってはならないので、万全を期して前日現地入りしてホテルで1泊してから港へ向かうことにしました。結果的にこういう予定にしておいて助かったのは、あとから「11:45までに乗船手続きするように」というような案内が来たことで、これには前泊していない限りとても間に合うものではありませんでした。

当日はホテルに手配してもらったシャトルでPort Evergladesへ向かいましたが、広大な港湾地区に入ると巨大な客船が見えてきました。しかしこれは私たちのLiberty of the Seasではなく、さらに大きなその船はさらに後ろに控えているのでしたが、さすがに14層ものデッキからなる船の姿は大きなホテルさながらの圧倒的なものです。これをゆっくり眺めている間もなくターミナルに到着すると荷物をポーターに預け、ターミナル内で乗船手続きに入ります。チェックイン自体はウェブ上で済ませているので、ここではパスポートを提出してその情報と顔写真を登録し、SeaPassなるカードを受け取るというのが主な内容になります。

さて、手続きが済むといよいよ乗船です。ターミナルからボーディングブリッジを渡るとそこはデッキ4で、同じデッキにはカジノなどがあります。船室に入ることができるのは3時以降とのことなので、それまでは船内をウロウロ散策するのですが、乗客用のデッキが15層もある船なのでどこから見て良いものやらという感じです。各デッキ間は階段のほかエレベーターで移動できますが、このエレベーターが乗客用のものだけで前後左右に4機ずつ計16機もあり、しかもそれが航海中は結構混み合うのです。ただこの乗船直後にはまだ人影もまばらなので、スイスイと移動できました。

そうしてあちこち見て回ったあと、レストランで夕食を摂っていてふと窓の外を見ると、いつの間にかLiberty of the Seasは音も揺れもなく静かに港を離れていたのでした。 (続く)