WASD Keyboards欲しい機能はなんでも備わっているようです。

「弘法筆を択ばず」ということわざは一般には「真の名人は道具の良し悪しに関わらず立派な仕事をする」という意味だとされていますが、逆に「まともな道具がなくて仕事ができなかった」という意味だする説もあるようです。実際、普段良い道具に慣れている人ほどいい加減な道具では気分も乗らず良い仕事をするのは難しいような気もしますが、私自身にとってはPCのキーボードがその道具に当たります。最近はコーディングすることはほとんどなくなってしまいましたが、ドキュメントづくりやメールの送信などキーボードはやはり欠かせない道具で、困ったことに自分のPC以外では長時間作業する気になれません。

先日、Geekの”This tiny mechanical keyboard might convince you to ditch your big one” (このちっちゃなメカニカルキーボードに納得してあなたはデカイのを捨てるかもしれない) という記事で見つけたキーボードを「Caps LockをCtrlに入れ替えられたら買ってたのに…惜しい!」とTwitterに投稿したのですが、これを見た友人が即座に購入して使っている様子を見ると、Macの場合はOSレベルでCaps LockとCtrlの入れ替えに対応しているので、特に不便なく使えているようでした。

私は職場のWindows PCでもう15年以上前から使っているHappy Hacking Keyboard 2がいいかげん古くて、PS/2-USB変換アダプタを使うことで機能的には全く問題ないものの、さすがに黄ばんできて周りの人にも「年季入ってますね」と言われるようになったので、そろそろ買い換えたいなあと思っていたのです。しかし、会社のPCにはキー入れ替えソフトなどはインストールしにくいので躊躇したのでした。ところが友人のコメントがあまりに具合良さそうな感じなので、自宅でApple Wireless Keyboardの代わりに使おう、と購入に踏み切ってしまいました。

WASD KeyboardsCode 61-Key Mechanical Keyboard Cherry MX Clearというのがそのキーボードですが、61キーでフレームも非常に薄い非常にコンパクトな製品で、ほとんどキーの部分しか場所を専有しません。コンパクトさではHHK以上です。また金属(鋳鉄?)製のベースがどっしりとしていて非常に安定しており、メーカー製PCに付属してくるような安物とは大きな違いがありますが、その重さは片手でつまみ上げると指がプルプル震えるほどです。

キースイッチにはCherryMXシリーズという定評ある定番のものが使用されていますが、このシリーズではキートップがはまる軸の色によって特性を区別するのが慣例となっていて、このCODE 61-Keyでも茶、緑、青、クリアの4種類が選択できるようになっています。それぞれクリック感・クリック音の有無や重さに特徴があるのですが、私が選んだのはクリック感がある茶軸を重くしたクリア軸で、クリック音のある青軸と迷ったものの職場でも使えるようにと静かなものにしました。

使い慣れたキーボードとは若干配置が違うのでキーの入れ替えが必要ですが、キーボード自体にもカスタマイズ機能があってかなり自由に入れ替えることができますし、その設定も決まった順にキーを押すだけなので簡単です。キートップの印字と機能が一致しなくなってしまうのが残念ですが、どうせそれを見て入力するわけではないので実用上の問題は一切ありません。

また、キーには最近流行りのバックライトも付いているのですが、面白いのは押したキーが光ったあと徐々に消えていくモードもあるということで、実はその存在が私の背中を押したともいえます。これは未来的な感じで最初はとても面白いのですが、実際には入力している時にはキーは視界に入らないので光っているところを見ることもほとんどなく、また実はどんなに手早く入力しても光が残るのでパスワードがバレてしまうというセキュリティ上の重大な欠点があることに気づいてしまいました。少なくともこのモードを職場や外で使うのはやめたほうが良さそうです。

今のところ慣れないのは、フレームが厚いせいかちょっとキーの位置が高いことと、カーソルキーの組み合わせや配置がこれまでのものと違うということですが、これらはあくまで慣れの問題でしかありません。カーソルキーについてはカーソルの移動自体には全くと言っていいほど使わないのですが、日本語入力時の変換操作にだけ使うので、思った文字に変換されなかった時にだけ「よいしょ」という感じで一拍おいて操作することになっています。まあこれもすぐに慣れることでしょう。

ということで、不満らしい不満は特になく大変満足していて、もっと早く慣れるために職場用にも購入してしまおうかと思っているほどです。