TOEICこれまでの会社生活でこれほど嬉しかったことはありません。

某企業の例を出すまでもなく、今やグローバル化というのは当たり前のものになっていて、エンジニアでも英語力は必要な能力の一つとなっているといえます。私の勤務先でも顧客や部品メーカーに外国企業は珍しくもなく、英語のドキュメントを読み書きしたり、外国人とミーティングをしたりというのが日常になりつつあると言っても過言ではありません。

会社として従業員の英語力を図るために、私の勤務先では英語検定の制度もあって、以前は独自のテストを行っていたのですが、15年ほど前からリスニングとリーディングの試験はTOEIC団体試験で行われるようになりました。これによっておそらくコスト削減になっているのでしょうが、それ以上に能力が得点として絶対的に判断できるようになったのは大きな利点です。

さて、このTOEICですが、いったい何点取ることができればいいのでしょうか。「スコアの目安」によると、700点以上で「会議の案内等の社内文書・通達を、読んで理解できる。」、800点以上では「英語で書かれたインターネットのページから、必要な情報・資料を探し収集できる。」とあり、900点以上になると「自分の専門分野の高度な専門書を読んで理解できる。英語を話す人達が行っている最近の出来事・事件についての議論を聞いて内容を理解することができる。」となっています。日本にいて、たまに英語の文書を読んだり英語の会議で端に座っているくらいであれば700点台で良いのでしょうか。英語で議論を戦わせるとなると900点前後は必要なのかもしれません。

私が最初に受験した時には700点でした。その後10年ほど経って、社内の英会話研修を受け、3週間の語学留学から帰国した時には900点に到達したので、もうこれ以上のスコアは難しいだろうと思っていました。その後4年弱のアメリカ駐在から帰国し、一体どうなったかと受験してみたのがこの2月のことで、先日その結果が返ってきました。さて何点だったでしょうか。

実は長男も帰国後一足先に受験していたのですが、現地の中学・高校で苦労しただけあって940点という高得点をマークしていました。彼はもはや私よりもかなり流暢にしゃべりますが、TOEICはややビジネス指向のところがありますので、高校生には難しいところもあるのだろうと思います。940点となると私も難しいだろうと思いましたが、父親の威厳を保つためにはぜひとも追い抜きたいスコアでした。

結果はなんと990点、フルスコアでした。受験した直後の感触では940点は難しいかなという感じだったのですが、少々時間配分を誤って終盤焦ったためにあまりうまく行ったように思えなかったものの、後で思い返してみるとわからなかったという問題は確かにほとんどありませんでした。駐在中は特に英会話のレッスンなども受けなかったのですが、意識的に米人同僚と会話したり、テレビや映画などに触れていた結果ということでしょうか。

しかし、自分も取った今だから言えますが、TOEICで満点だといっても大したことはありません。「ネイティブと間違われるレベル。」などと書かれていたりもしますが、絶対にそんなことはありません。940点で「教養のあるネイティブの平均。」などとも書かれていますが、そんなこともないでしょう。私も辞書を引く回数は減りましたが、それでもやはり知らない単語はいくらでもあります。結局、TOEICで測ることのできる能力は限られた分野のものでしかないのです。

とはいえ、今回長男のスコアを上回って面目を保つことができたのは素直に嬉しく、長男が「あらためて尊敬する」などと言ってくれたおかげもあって、数日はちょっと浮ついた気分だったのも事実です。まあこれで満足することなく、研鑽を続けていければというところでしょうか。