App.net始まりがあれば終わりがある。

私も何をきっかけに知ったのか忘れてしまいましたが、おそらく超マイナーなSNSサービスのApp.netが来る3月14日でサービスを終了すると発表されてしまいました。2014年5月の時点で資金難から開発を停止してメンテナンスモードに入ると発表されており、現状がいつまで維持されるのかというのがユーザーの間で心配されていたのですが、とうとうこれ以上は継続できないという所まで来てしまったようです。

このApp.netというのは何なのかというと、一言で言えばTwitterのクローンです。ほとんどTwitterと同じことができて、文字数制限が140文字ではなく256文字であるとか、ストレージサービスがあったりとか細かい違いもあるのですが、最大の特徴はサービスの利用が有償であり、広告からは一切収入を得ていないという点です。有償であることによって利用者がある程度ふるいにかけられていたためか、スパムや罵倒、デマなど質の低いツイートに煩わされるTwitterとは違って落ち着いた雰囲気で居心地の良さがありました。

当初はすべて有償だったのですが、ユーザー数が伸び悩んだためかフォローの数を制限した無償アカウントも後から追加され、これが失策だったのではないかと私は思っています。それまで月額$5、1年分一括なら$36という利用料を払っていた有償ユーザーの一部もフォローの数を減らして無償アカウントに移行するなどしてしまったので、これはユーザーの絶対数を増やしこそすれ、収益の改善には逆効果だったのではないでしょうか。確かに知ってもらわないことには利用者も増えませんし、既存のユーザーから紹介するにしても利用料がいるということでは紹介しづらいところはありました。

また、以前はTwitterの有名なクライアントアプリで私も利用しているTweetbotの開発元であるTapbotsが、App.net用にTweetbotとほとんど同じ機能とインタフェースを持つNetbot for app.netというアプリを提供していたり、他にもそれなりにクライアントアプリがあったのですが、それも徐々に減っていってしまって最近はごくごく限られたものだけが存在する状態でした。これもユーザーを遠ざける一因となったことは間違いないでしょうから、アプリ開発のサポートもこういったサービスを盛り上げるためには重要であるということでしょう。

ということで、親しんできたサービスがまた一つ消えてしまうというのはとても残念なことですが、本家Twitterも収益化がうまくいかないまま良い買い手も見つからない状態ですので、難しいものですね。日本ではスタンプで収益化に成功したLINEが圧倒的に優勢ですが、あれももっとオープンだったら良いのですが。好みの問題なのでしょうが、クライアントの使い勝手というのは重要ではないかと思います。しかし、オープンであることと収益性とは相反するものなのでしょうか。