評論家という種類の職業の人はたいていどういう仕事をしているのかがよくわからないものですが、自動車評論家という人たちもその例外ではないように思います。自動車雑誌への寄稿というのが主な業務ではないかと思われますが、自動車評論家と一言でいっても千差万別で、単に完成だけで記事を書いているような人から、綿密な取材を下敷きに深く分析している人までいるのではないでしょうか。

私の好きな自動車評論家の一人、福野礼一郎氏はまさに後者のタイプですが、歯に衣着せぬ評論のせいか一時期は雑誌から姿を消してしまっていました。最近再び表に出てくるようになったように思いますが、そんな氏がカーグラフィック誌に連載していた記事をまとめた「極上中古車を作る方法」という本を先日購入しました。

極上中古車を作る方法
極上中古車を作る方法

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福野 礼一郎
二玄社 (2004/06)
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内容は、一台のロールス・ロイスを中古で購入し、それを様々な方法で磨き上げて極上のコンディションに仕立て上げるというものです。ここで行われているものはみな特別なものではなく、誰もが自分の車に対して応用することができるようなものばかりなので、ちょっと古びてきた愛車に磨きをかけたいという場合に使うことのできるテクニックが満載されています。少々手間と時間がかかるものが多いのですが、それだけ時間をかければますます愛着も湧くのではないかと思います。

もともと実は同名で「くるまにあ」誌2001年12月号で40ページ余りの特集が組まれていたのですが、このときはビュイック・リビエラを同じように仕上げていました。平綴じの月刊誌の特集としては画期的な内容だったので、この単行本の方も間違いなく充実したものだろうと期待していたのですが、全くそれを裏切ることのない素晴らしい内容でした。

わたしは最近新車を購入してしまったのですぐに使えるというものではありませんが、自動車好きとしては読んでいるだけで楽しいものでした。ちょっと古めの車が好きという人には間違いなくお勧めできる一冊です。また車に関するもの、そうでないものあわせてあちらこちらに薀蓄が述べられているのも、薀蓄好きな私には嬉しいところです。福野氏のような評論家はほかにいないのではないかと思いますので、今後も氏の活躍を応援したいと思います。

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