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Blockhead

改良の余地あり。

Appleの製品を何か購入したことがある人はおそらくご存知だと思いますが、Appleの電源アダプターは電源プラグ部分が各国の仕様に合わせて交換できるようになっており、製品購入時にはアダプターに直接プラグを付けるタイプと、Macbook Proなどではさらにアダプターからプラグまでの間を1.8mのケーブルで延長するタイプのものが同梱されています。これらも自由に変えて使うことができるのですが、この延長ケーブルがかなりしっかりした太いもので取り回しづらく、持ち運びには適さないので私は専ら直接プラグのタイプを使用しています。ちなみにこの延長ケーブルは単品で買うと定価2200円もするようです。

しかし、このプラグの向きが平たいアダプター本体に対してブレードが並行になる形になっているので、壁コンセントに挿した場合に本体が大きく突き出してしまい、邪魔かつ不安定という問題があります。これを解決しようというのがBlockheadという製品で、プラグの向きを90°回転させてアダプター本体に垂直になるようにするものです。こんな製品が最近になってようやく登場したというのが不思議なくらいですが、アイデア製品ということでたかが電源プラグなのに$20となかなかの価格になっています。私はアメリカ出張のついでに購入してきましたが、日本ではフォーカルポイントが代理店となって販売しているようなので普通に購入できるでしょう。

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純正のプラグではちょっと緩い壁コンセントの場合に自重で抜けてしまうという問題が私にとっては一番大きかったのですが、Blockheadを使用すると本体の重心がコンセントに近くなり安定するという効果が期待できそうです。品質はしっかりしているようで、スムーズに装着できてガタツキもありません。

しかし、携行して使用しようとすると実は大きな欠点があります。純正のプラグはブレード部分を折って樹脂部分に格納できるようになっているのですが、Blockheadでは固定されてしまっていてそれができないのです。これは私もうっかりしていたことですが、プラグが他の荷物などで圧迫されて曲がってしまうということは少なくないことなので、気を付けなければいけません。しかもBlockheadでは特に90°横に出ることになってしまうので、アダブターに付けたままにしておくのは難しいかもしれません。結局私は純正プラグを本体に付けておいて、Blockheadは一緒に携行する電源分岐用のケーブルに挿しておいてブレードを保護するということになりそうです。

実は見た目さえ気にしなければ一般的なメガネタイプの電源をそのまま挿すこともできるので、私は自宅の机の上で使う時はカメラの充電器に挿されているメガネプラグを抜いて使ったりもしています。端子がメガネプラグの短い電源ケーブルを使えば同じようなことはできそうな気もしますが、メガネプラグだけでアダプターの重みを支えることはできないので、このような構造が必要で高くなってしまっているのでしょうね。まあ何より見た目はすっきりしていて、かっこいいと感じる人もいるかと思います。

Jobs

どこまで事実なのかは…

Appleの創業者で元CEOのSteve Jobsが亡くなってから、いつの間にか4年も経ってしまいました。未だに新製品が発表されるたびに「ジョブズがいたら〜」という人がいますが、いい加減いつまでもすがっているべきではないでしょう。

最後の数年のWWDCなどでのプレゼンは欠かさず見ていたので、私にとっては偉大なプレゼンターという感じですが、死後まもなく発売された本人公認の伝記のおかげで彼についてはアップルファンでなくともよく知られているのではないでしょうか。また、この伝記をベースにしたりしなかったり、いくつかの伝記映画も製作されていて、その名も「スティーブ・ジョブズ」という作品はちょうど明日から公開されることになっています。おそらく私もこの作品は観に行くと思うのですが、その前にあまり評判の良くない2013年版「スティーブ・ジョブズ」を観てみました。

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主役のSteve Jobsを演じているのはAshton Kutcherで、彼の役作りは頑張っていて、喋り方などもイメージ通りで、特に静止画で見ると悪くないと思うのですが、どうも歩き方が不自然で気になってしまいます。必要以上に猫背になっているのが良くないのかもしれません。私にはあまりそういう印象はないのですが、Jobsってそんなに猫背だったでしょうか。

一方、もう一人のSteve、WozはJosh Gadが演じていますが、こちらはさらにもう一歩です。束の間ながら実際に本人に会うことが出来たせいもあると思いますが、本物の人の良さそうなところが演じきれていないように感じました。この作品にとってもこれは大事なところなのではないかと思います。

物語として描かれているのは冒頭のiPod発表時の様子のほかは学生時代から初代Macintosh発売後に会社を追われるまでと、NeXTと共に返り咲くところのみで、エポックメイキングな最初のiMacやJony Iveにまつわるエピソードはあまり触れられておらず、物足りないように感じるのはそのせいなのだと思います。Iveには存在感を感じさせながら、深掘りしないというのはどういうことなのかという感じです。

しかしどうもJobsの身勝手さや取締役会に翻弄された様子などに力点が置かれていたようで、結局のところみんなが見たいJobsの映画ではなかったということなのだと思います。明日公開の「スティーブ・ジョブズ」の方は公認の伝記を映画化したものということなので、おそらくこちらは多くの人に支持されるのではないでしょうか。

ちなみにこの作品、今も養母のMarilyn Jobsが住むLos Altosの生家で実際にロケを行ったようですので、少なくともそのシーンの映像は事実にかなり近いということができるかもしれません。

ジョナサン・アイブ – 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー

アップルファンならいいでしょうが。

今でこそ携帯電話はiPhone、パソコンはMac miniとMacBook ProでiPadも持っている、とアップル製品に囲まれている私ですが、あまりアップルファンという自覚もないままいつの間にかこうなってしまいました。同じ会社の製品で揃えておいた方が何かと便利だから、というのは囲い込み商法の目指すところでしょうが、特にそういうわけでもありません。それではいったいなぜアップル製品を選択するのか。まず、安いからではありません。性能・機能から考えれば特に割高だとは思いませんが、もっと安い他社製品はいくらでもあります。また、高性能だからというのでもありません。例えばiPhoneよりもSony XperiaSamsung Galaxyなどの方が性能的に勝る部分は多いでしょう。

では、なぜか。それは「使っていて気持ちが良いから」ということではないかと思います。製品の意匠は特にかっこいいというようなものではありませんが、シンプルで飽きの来ず、邪魔にならないものです。また、ユーザインタフェースについても使っていて引っかかるような動作がなかったり、無駄な操作を省くことが考えられていたりして、スペックに現れない官能的な部分に力が注がれているように感じます。もちろん、OSをアップデートしていくとハードウェアの性能が追いつかなくなって最終的には使いものにならないほど重くなってしまったりもしますが、少なくとも発売時点で性能に不満を感じるようなことはないのではないでしょうか。

そんなアップルのこだわりの部分は故Steve Jobsによるところが大きかったと言われていますが、ことデザインに関してはそのSteveの右腕であったJonathan “Jony” Iveの業績として知られています。しかしながら、秘密主義のアップルの、さらに極秘中の極秘であるデザイン部門については非常に情報が限られていて知られていることは多くありませんが、このJonyについて著された「ジョナサン・アイブ – 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー」という本が発行されたので読んでみることにしました。

ジョナサン・アイブ

ところがこの本、Jonyの伝記としては肩透かしというか、はっきり言うと期待はずれでした。Jonyがアップルに入社するまでのところはいいですが、それ以降はJonyを中心に描いてはいてもアップル製品の歴史を書いているだけで、また多くがすでに知られていることではないかと思います。Jonyが各製品にどのように関わってきているのかということはあまり知られていないことですが、それもあまりしっかりと記されていません。そして残念なのは、アップルの歴史の中で、Jonyがどのような状況で何に心を砕いてきたのかというようなことがほとんど描かれていないことです。

結局のところ、著者もあまり詳しい情報を得ることができなかったということなのかもしれません。外部に漏れてくる情報をつなぎあわせてストーリーを作ったというところなのでしょうか。著者はCult of Macというアップル関連情報ブログを主宰するLeander Kahneyという人ですが、「スティーブ・ジョブズ」のようなちゃんとした伝記作家のちゃんとした伝記のようなものを期待してしまったのがいけなかったのでしょうか。

おそらく読者が最も知りたいところはどうしてJonyが優れたデザインを生み出すことができるのかということではないかと思いますが、そこについてはほとんどわからないままです。Jonyが抜群のセンスを持ったデザイナーであるからだと言われてしまうとそれまでなのですが、それにも何かしらの背景があるはずです。ただ、この本からは一つ一つの製品をデザインしたのはJony本人ではなく、IDgなる産業デザイングループ全体としての成果であり、それを取りまとめているのがJonyなのだということはわかったので、それはひとつの収穫と言えるかもしれません。まあ当たり前のことですけどね。