加賀大観音日常との違和感が楽しい

またしても宮田珠己氏です。今回は日本中の「巨大仏」すなわち巨大な仏像を見て回った「晴れた日は巨大仏を見に」という本を読んでみました。

晴れた日は巨大仏を見に
著:宮田 珠己
白水社 (2004/06)
ISBN/ASIN:4560049920

巨大な仏像というと普通は奈良や鎌倉の大仏が思い浮かぶものと思いますが、実はこれらを遙かに凌ぐ巨大な仏像が日本中の至る所に存在します。さすがに沖縄にはないものの北海道から九州まで、日本中に点在しているというのにあまり注目されることはありません。それはただ巨大であるというだけで歴史的価値が欠けているため、重みが感じられないせいなのでしょうか。この本ではそんな浮いた存在となっている巨大仏の「浮きざま」を楽しもうというような趣旨となっています。

あまりに多くの大仏が存在するので、ある程度の基準を設けて対象を限定しないとそれこそきりがないということで、ここでは全長40mという区切りを設けています。が、この40mというのは大した根拠のある値ではなくて、強いて言えば「ウルトラマンより大きい」のが目安、というのがいかにもタマキングらしいところです。

相変わらず本書でも話は横道に逸れまくりでそこが楽しいのですが、これまでに読んだ著書の中ではかなり対象に向き合っているような、テーマがはっきりしているせいかそれに沿ってまとまっているような感じがします。基本的に、ある巨大仏を求めて出掛けてゆき、遠くから眺め、近くで見上げ、胎内を巡り、そして近くにある面白いものを見て帰る、というような流れになっています。一つ一つの巨大物は丁寧に、しかし面白おかしく解説されているので、この本を片手に見て回るのも面白いのではないでしょうか。

この中で、会津慈母大観音というのが紹介されているのですが、この帰りには私も先日見に行った栄螺堂を訪れていて、写真入りで掲載されています。あまり宮田氏の琴線に触れるものではなかったようですが、私も同じところに行ったのだというのが嬉しくもあり、また私も大観音を見ておけば良かったと若干後悔もしてしまいました。また仙台大観音先日の出張の帰りに高速道路から注意して見ていれば見つけられたような気もするのでそれも残念です。

ということで、近頃影響されやすい私は巨大仏を見て回りたくなってしまったのですが、とりあえずは近場にあるのに未だ見たことのない「太陽の塔」を手始めに見に行きたいと思います。写真で見ているだけだと周りが広々としているだけにスケール感がないのですが、高さ70mもあるのですね。これはぜひ間近に迫って圧倒されたいところです。ただ今は暑いのでしばらく先に…