長田in香の香 の 釜揚げうどんシンプルなうどんがこんなに美味しいなんて

いくらうどんが好きだと行っても一日に何軒も回って食べるなんてちょっと珍しい人がするものだと思っていたのですが、実はそうでもないのかそれとも私もやっぱり珍しい人だったのか、最近うどんキチガイになりつつある後輩Mに誘われて、讃岐うどんの本場香川県へ行ってうどんを食べまくるツアーに行ってきてしまいました。といっても実はそれほど凄いことでもないというのは行ってみて分かったのですが、大抵の店には「うどん小」というのがメニューにあって、これを選んでおけば実はそれほど満腹にならずに食べ比べることができるのでした。またうどん自体味の濃いものではないのでなかなか飽きが来ないということもあります。

ということで瀬戸大橋を渡って麺通団の「超麺通団3 麺通団のさぬきうどんのめぐり方」を見ながらまず最初に向かったのは「たむら」です。この店は麺の美味い店ということで期待していたのですが、素人の私は逆に「うどんで麺以外の要素は何なのか」と素朴な疑問を感じてしまいました。
たむら
午後1時頃麺がなくなり次第終了ということなので一番手に選んだ「たむら」に着いたのは午前11時でしたが、明らかに昼食には早い時間にも関わらず30人ほどの人が行列を作っていて、うどんのために並ぶということ自体も初めてだったので驚いてしまいました。メニューは至ってシンプルに「かけ」と「しょうゆ」のみで、卵など数種のトッピングが選べるというものなのですが、実は麺の量をおばちゃんに言って丼に入れてもらい、あとは自分でダシなり醤油なりをかけてネギやショウガを盛りつけ、最後に自己申告で代金をおじちゃんに払うというシンプルなシステムです。

私はとりあえず醤油うどん大にしましたが、この麺は確かに絶品、いくらでも食べてしまいたくなる極上の味わいです。うどんに醤油とネギ、ショウガだけなのにどうしてこれほど美味いのか不思議なものですが、讃岐うどんの一つの境地であるのは間違いなさそうです。しかし麺以外の要素はことごとくダメなのがこの店で、店構えもおよそ何かを食べさせる店のようでなければ、おばちゃんの愛想のなさも客商売とはとても思えません。それでもこれほどの人を呼び寄せてしまうだけの魅力を持った麺だということなのですが…
山越うどん
いきなり1店目からこんなに個性的な店だったのでこの先どうなってしまうのかと思ったのですが、次に向かった「山越うどん」は「たむら」に比べるとはるかに一般向けでした。ただし、うどん屋とは思えない警備員付きの巨大な駐車場を持ち、観光バスを受け入れているところはあまり一般的とも思えず、店に並ぶ100人を超える人の列はもはや異常です。並ぼうとしたところでそばにいたおっちゃんに「1時間半くらい待つんじゃないか」と脅されましたが、実際に待ったのは1時間少々…たかがうどんのために待つ時間ではありませんが、これが今回の旅の目的なのだから仕方ありません。

この「山越うどん」は釜揚げうどんに生卵を和えて食べる「かまたま」の発祥の地ということらしく、かまたま好きな私はかなり期待して臨みましたが、ちょっと期待しすぎたのかもしれません。確かに美味いことは美味いのですが、麺がやや冷め気味なせいか卵があまり固まっておらず、また何となく水っぽいような味になってしまっていました。麺もその辺で食べられるものに比べればはるかに美味いのですが、「たむら」の直後に行ってしまったのが失敗だったかもしれません。まあおそらく今一つと感じてしまった最大の原因は「創価臭」なのだと思いますが…

このあとは今回のもう一つの目的地であった豊稔池堰堤を見に行ったりしてから、M夫人のリクエストで「長田in香の香」という店へ向かいました。この店では釜揚げうどんが名物ということなのですが、普段あまり店で食べることがないメニューなのでどうなのかなと思いながら私も「釜揚げうどん小」を頼んでみました。こちらは半セルフで、レジで先にオーダーするとテーブルまで運んできてくれるというような形態でしたが、店によって色々なシステムがあるので素人は戸惑ってしまいます。
長田in香の香 釜揚げうどん
食べ慣れない釜揚げうどんだったので実はあまり期待していなかったのですが、私にとっては今回のツアーの中で最も印象深かったのがこれでした。何しろ素晴らしいのが漬けダシで、大きな徳利に入っているその蓋を開けて猪口に注ぐと漂ってくるのは何とも言えない香り良いもので、また飲んでみてもまた実に味わい深く、このまま飲み干してしまいたくなるほどです。そしてもちろんうどんを漬けて食べてみたときもこのうどんにこのダシありと言える相性の良さで、ダシが主張しすぎずしっかりと麺も味わうことができるものでした。いたく感動した私はこのダシを土産に買って帰りたいと思ったのですが、やはり同じように思う人は多いらしくしっかりメニューに用意されていました。食後に頼むとおばちゃんが「ちょっと待ってて」といって空のペットボトルに店の鍋から詰めて渡してくれましたが、このボトルからも良い香りが…これでご飯が食べられそうです。

私としてはここで帰っても良いくらい満足していたのですが、最後に向かったのは「おか泉」という店で、こちらは店構えも店内の様子や店員のサービスなども一般的で、うどんだけでなく接客にも手を抜かないというのを売りにしているようです。こちらのお勧めは「冷天おろし」というぶっかけうどんに大根おろしと天ぷらが載ったもので、店頭で順番待ちの間に流されている宣伝ビデオでしきりに紹介しているので結局ほとんどの人がこれを注文してしまうのではないでしょうか。これまでの3店はうどん一杯200円前後だったのですが、この「冷天おろし」は天ぷらのせいもあって892円と破格です。まあ、今になって冷静に考えればこの値段でも安すぎるような気はするのですが、完全に麻痺していました。
おか泉 冷天おろし
ということで運ばれてきた「冷天おろし」はその海老天の大きさにびっくりです。しかも2尾も乗っているのですが、衣はサクサク、エビもプリプリで満足できます。もちろんうどんの方も手抜かりはなくコシのある麺がツルツルと美味しく、この店にはなかな文句の付けようがないのではないでしょうか。どこか図抜けたところがあるというわけでもないのですが、かなり高い次元でバランスを保った一流のうどん店と言うことができそうです。強いて言えば行列のプレッシャーがあるのでせっかくの居心地の良い店内でものんびりすることができないということくらいでしょうか。

ということで思っていたように無理に詰め込むような思いをすることもなく、また飽きてしまうようなことも決してなくうどんを楽しむことができた今回のツアーでしたが、意図せず4店それぞれ異なるタイプのうどんを頼んだのも良かったのかもしれません。また最初の「たむら」から「おか泉」まで徐々に店構えが一般的なものになっていきましたが、これは営業時間が大いに影響しているので全くの偶然ではないかもしれません。最後まで「たむら」の調子だったらどうしようかと思いましたが、やはりアレは讃岐のうどん店の中でも個性的な方なようで安心しました。総括すると誰にでもお勧めできるのは「おか泉」ですが、「長田in香の香」の釜揚げうどんはぜひ一度味わっていただきたいですね…私ももう一度行きたいです。


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