Tibet日本は見えないふりをするしかないのでしょうか。

今、チベットでは一体何が起きているのでしょうか。

中国国内のチベット民族は1950年に人民解放軍の侵攻を受けて中華人民共和国に併合されて以来、漢民族による支配の下で様々な圧政・虐待を受けていると言われています。力で押さえつけようとすればするほどそれに反発する力も強まるもので、常に火種がくすぶっているような状況となっていましたが、それが今回デモから発展して暴動という形になってしまったということなのでしょう。

チベット亡命政府側の発表ではデモの参加者が射殺されるなどして死者99人ということになっていますが、一方中国政府側はチベット族により漢族の店舗が襲撃されたり、警官が殺されるなどしているといっており、双方の言い分はかなり食い違ったものとなっていて、一体どちらを信じるべきなのかといった状況です。21世紀とは思えないほど情報が入ってこないことにも驚いてしまいますが、中国政府によるコントロールが力を発揮しているということなのでしょう。

そもそもチベットの人達も国家としての独立を求めているわけではなく、本当の自治を望んでいるだけなのではないかとも言われていますが、自治権を与えれば次は独立を求めるのではないかと中国政府は考えるでしょうし、他の少数民族や台湾を刺激するのも避けなければならず、巨大な国をまとめるためには断固制圧しなければならないのでしょう。

これに対し、日本の反応はどうなっているのかといえば、まず日本政府はこれといった反応を示せていません。まあ、何か批判的なことを言えば逆に叩かれることになるのは目に見えていますので、及び腰にならざるを得ないのでしょう。フランスやイタリアはいち早く中国政府の対応を批判しているということなのですが。また、国内にいる「人権」団体は一体どうなのかというと、ほとんどの団体が全くの無反応のようです。そもそも彼らにとっての「人権」とは全く異なる問題なので、一切関与する気はないのでしょう。何より関与することで得られる利益がありませんからね…

しかし、日本人にとってもこの問題は対岸の火事と見ていていいものなのでしょうか。たまに政治家が「日本は単一民族国家」などと発言して問題になっているように、日本にもアイヌという少数先住民族がいて、彼らにとってみれば先祖から伝わる彼ら自身の土地を日本により侵略され、日本への同化を強制されたということになります。この構図はチベットの場合とそう変わらないのではないでしょうか。ただ、アイヌの人々が穏健であるのか、人口が少なく抵抗する力がないだけなのか、衝突するような事態にはなっていないだけなのです。今回の件をきっかけに、私たちも自分たちの国を見つめ直す必要があるかもしれません。