銀のいすこれはハッピーエンドと言えるのでしょうか…

先週長男が学校で借りてきた「カスピアン王子のつのぶえ」を読んだあと、続けて借りてきた「朝びらき丸 東の海へ」を読んで以来どうも勢いが付いてしまい、週末に図書館に行った際にナルニア国ものがたりの残りの4冊をすべて借りてきて、その週末から月曜日にかけて最後まで読み切ってしまいました。

さすがに1冊1冊いちいち紹介しているとしつこいと思うので簡単に済ませることにしますが、主人公は最初の3作までのペベンシー兄弟から変わり、「銀のいす」ではユースチスとその学友のジル、「馬と少年」では現実世界からは誰も行かずナルニアの隣国カロールメンのシャスタとアラビスの2人に加えてナルニアのもの言う馬ブレーとフイン、「魔術師のおい」ではポリーとディゴリーという新しい2人、「さいごの戦い」ではナルニア王チリアンというように、様々な人物が登場しそれぞれの物語を展開します。

もちろん最終的にはこれらの物語にはみな繋がりがあってバラバラなものではありません。特に「魔術師のおい」では街灯あと野になぜポツンとガス灯が立っているのか、またなぜ「ライオンと魔女」で洋服箪笥が二つの世界を結ぶことになったのか、ということが明らかになり、この手の細々した繋がりが好きな私はとても楽しむことができました。

このシリーズの面白いところはナルニアと現実世界の時間の流れが異なることで、伝説の王が目の前に子供の姿で現れたり、自分たちの住んでいた城が廃墟となっているのを目にしたり、ということは「カスピアン王子のつのぶえ」でも描かれていたことです。タイムマシンが登場するわけではないのですが、それと同じような効果が現れているので単なるおとぎ話ではなく、何となくSFっぽい匂いがするのでしょうか。

この一連の作品は全体的にキリスト教的世界観を下敷きにしているとはいえ、「さいごの戦い」はかなりその色が濃く感じられ、ちょっと鬱陶しく感じるようなところもありました。アスランの前で二つの道に分けられるというのはまさしく最後の審判をモチーフにしたものでしょうが、あまりにあからさまに感じられます。聖書について全く予備知識を持たない人が読んだ場合にはどう感じるのでしょうか。

またこの結末は一体どうなのでしょう。子供がこれを読んだあとでどういう感想を漏らすのか、ちょっと興味がありますが、すんなりと受け入れることができるとはとても思えませんし、私自身スッキリとはしていません。映画化した場合にはどう描かれることになるのかも興味深いところですが、万人受けするように脚本は大きく変えられることになるのでしょうか。映像化したとするとあまりに悲しくなるような気がするのですが…

まあ何にせよ、さすが三大ファンタジーと呼ばれるだけのことはあったと思いますし、「指輪物語」とは明らかに違う世界観を楽しむことができました。となると私がまだ読んでいない残りは「ゲド戦記」ということになりますが、すぐにでも読みたくなってしまいました。ただしこれは映画の方は非常に評判が良くないのできっと観ないほうがいいのでしょうね…ほとんど怖いもの見たさのようなものがありますが、こればっかりはやめておくべきのような気がします…残念ながら。