MAXやっぱり道具にはこだわりたい。

高級万年筆や製図用具などは別として、一般に使われるような文房具というのは単価が安いせいもあるのか国産品か国内メーカーの海外生産品が大きなシェアを占めていて、輸入品というのはあまり見かけないものです。それは海外でも同じなのか、文房具にはそれぞれのお国柄がよく現れているような気がします。イギリスのものは長い歴史と伝統のある一流メーカーと粗悪な安物の二極に分かれていて、フランスはデザイン性の高いおしゃれなもの、ドイツは質実剛健な機能美の溢れたもの、というような感じです。ドイツのStaedtlerRotringなどは日本でも有名ですが、私はフランスMaped社のコンパスとハサミが気に入っています。まあコンパスなんて日頃使うことは全くありませんが。

それでは日本はどうなのかと言えば、やはり「ハイテク」でしょう。先日ご紹介したクルトガなどはいかにも日本の文具らしい精密加工の賜といった製品ですが、私はステープラーでは初代フラットクリンチを愛用しています。もう購入以来10年以上経ちますが、一度床に落としてからちょっと調子が悪くはなったものの未だ現役です。ウェブを漁ると1998年発売とリリースされているクリスタルのHD-10Fのようで、この年はボンダイブルーの初代iMacが発売されてトランスルーセントがブームになっていたので、それに乗ってつくられたというようなことが正直にリリースに書かれていますが、実はこのおかげでフラットクリンチの機構が「透けて見える」というのが、動かないコンピュータとは違い大きな魅力になっています。

さて、このクルトガの時のコメントでもご紹介いただいたVaimo11 FLATというのはまたかなりユニークで魅力的な製品です。私はこの時「Vaimo11は普通の針では使えないのと、愛用の初代フラットクリンチがあるので」とネガティブな反応を示していたわけですが、結局その後購入してしまいました。専用針とのセットの定価が1575円ということでただのステープラーだと思うとやけに高いということで最初は躊躇していたのですが、ある時ホームセンターに行ったおりに見てみるとなぜか特売で千円ほどになっていたので思わずカゴに入れてしまったのでした。

マックス バイモ HD-11FLK/R レッド
メーカー:マックス
MAX (2008/09/15)
ISBN/ASIN:B001UAGH42

この製品の特徴は商品ページプレスリリースに詳しく書かれていますが、何と言っても「小型の手持ちステープラーで40枚もの紙を軽く綴じることができる」ということに尽きます。通常のステープラーでは20枚程度が限界なのですが、長さや幅は大きいながら太さは一般的な10号針と同じという新型の11号(No.11-1M)という針を開発し、長い足で多くの紙を綴じながら線の細さのおかげで抵抗は小さくサクリと綴じられる、というのがキモでしょう。もちろんそれ以外にも細かい工夫があちこちに凝らされていることは間違いありません。

ということで、私をそそのかした人も最近購入されたようですが、私が購入したのは実は2ヶ月ほど前のことです。しかし、買ったはいいもののそんなに多くの紙をステープラーで綴じるという機会がなかなか巡ってこなかったので、使ってみてからご紹介しようと遅くなったのですが、ようやく今週になっていくつかの資料を綴じることができました。なんて嬉しそうに言うようなことでもありませんし、20枚ほどなので普通のフラットクリンチでもまだ余裕のある枚数なのですが、ここぞとばかりに使ってみたのです。

その使い心地はというと、あっけないほど軽い力でカチャッと綴じることができてしまい、全く拍子抜けしてしまいました。しかし、通常のステープラーでは限界に近い20枚のコピー用紙を確実に、しかもかなり余裕を持って綴じることができました。この様子であれば実は50枚程度でも綴じることができてしまうのではないかと無茶なことを考えてしまいますが、その機会があれば試してみようかと思います。ちなみに綴じられた針はもちろんフラットになりますので、何部か重ねてもあまりかさばらずに済むでしょう。

これまではフラットクリンチで綴じられなくなると卓上の大型のステープラーを使って太い針で凹凸の残る綴じ方しかできず、やり場のない鬱憤を感じていたわけですが、これからはそんなことも減りそうで嬉しいです。まあ職場でそんなつまらないことにこだわるのは私くらいではないかと思いますが…