これが実話とは。
American Made

1991年のクリスマスにソビエト連邦崩壊するまで、それぞれソ連とアメリカを中心とする東西国家の間では冷戦状態となっていたわけですが、その裾野ではKGBCIA (中央情報局)による各種工作合戦が繰り広げられていました。その中で実際にあったことをもとにしたという映画「バリー・シール/アメリカをはめた男」を観てみました。

バリー・シール/アメリカをはめた男(吹替版)
(2018-01-30)
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実話をもとにした話ということで、主人公は邦題にもなっているBarry Sealという、1970-80年代のアメリカで暗躍した実在の人物で、Tom Cruiseが演じています。私はまったく予備知識を持たずに観始めたのですが、メデジン・カルテルコントラサンディニスタ民族解放戦線という中米の組織がいろいろ関わってくるので、これらについて何らかの知識を持っておいた方がより楽しめるかもしれません。また、CIAのほかFBI (連邦捜査局)、DEA (麻薬取締局)、ATF (アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)といったややこしいアメリカの捜査組織の職掌についても知っておくとちょっとだけ面白いでしょうか。

作品はあくまで実話を「もとにした」もので、脚色として事実から変えてあるところもいろいろあるようですが、Barryがアーカンソー州のMenaという田舎町の空港を拠点として麻薬の密輸を行っていたことは事実のようです。当初の作品名はずばり”Mena”としようとしていたそうですが、それはさすがに直接的すぎるのでやめたということでしょうか。現在5000人余というMenaの町の住人にはちょっと複雑ですよね。なお原題が”American Made” (アメリカ製)というのに対して、「アメリカをはめた」という邦題では大胆不敵な人物をイメージさせてはいますが、私が見たところではアメリカを騙したわけでも、国に陥れられたわけでもないようで、ちょっと印象操作になっているような気がします。

ということで、作品自体も1980年代風の映像となっていて、そういう面でもいろいろ楽しめたのですが、あまり人が死んだり痛い目に遭う直接的な描写がないというところも良かったです。私はどうも暴力描写が苦手なので極力避けて欲しいと思うのですが、それがリアリティだと思う人もいるようなのが困ったものです。いやしかし、ここ数年でTom Cruiseがだいぶ好きになってきたような気がします。