今年11月から、全国の路線バスのうち18事業者29路線で完全キャッシュレスバスの実証運行が開始されるということで、その路線が発表されました。選定された路線の一覧を見てみると空港やアウトレットモール、スタジアムなどへのアクセス路線が多いようで、通勤路線などは避けられているようですが、実験による混乱が市民の生活に影響を及ぼさないようにという配慮なのでしょう。

この完全キャッシュレス化の目的は深刻なバス運転者不足対策やバス事業者の経営改善のための負担軽減ということですが、乗降時の料金支払いのために運転席前に行列ができるのは乗客の側から見ても改善すべき点と感じられるところです。これがキャッシュレス化でスムーズに乗降できるようになれば、乗客の側にもそれなりのメリットが有るのではないでしょうか。

鉄道の場合にはICカードやスマートフォンを利用して乗る場合には、券売機であらかじめ切符を購入しておくという手間が不要になるというメリットが有りましたが、バスの場合には現金でそのまま支払いができてしまうということで、キャッシュレス乗車のメリットが感じづらいというところがあるかもしれません。ただ、現金の場合は通常釣り銭が出ないのであらかじめ両替しておく必要があるというデメリットが有りましたが、それを苦と思わない人や小銭が準備できる人には通じませんね。

しかし、先日台湾に行った際には移動の足として路線バスに何度も乗りましたが、台湾のバスではキャッシュレス乗車に大きなメリットがありました。あちらのバスではカードをタッチする車載器がバスの後部乗降口付近にも複数あり、後部ドアからそのまま乗降することができましたし、バスが停車する前からタッチしておくことができたのでスムーズに乗降することができました。日本のバスでもこういう事が可能になればさらに利便性が向上して、キャッシュレス化の促進にもつながると思うのですが、まあ凝り固まった慣習や固定観念を覆すのはなかなか難しいのでしょうね。

私自身は完全キャッシュレスになったとしてもまったく問題ありませんが、普段から交通系ICカードなどを使っていない人のためには、コンビニなどでいつでもICカードを購入できるようにする必要があるでしょう。今でもそうなっていればいいのですが、少なくとも交通系ICカードをコンビニで買うことはできませんよね。特定事業者のバスカード等があるならそれでもいいと思いますが、そのあたりの整備はセットで進めていく必要があるはずです。まあ国土交通省のエリートの方々には釈迦に説法だと思いますが。