東京の上野公園内にある国立科学博物館の入館料が4月1日から改定され、高校生以下は70円から無料になる一方、大人は420円から値上げして500円となるそうです。読売新聞によると

子供の科学への関心を高めるのが狙い

とのことなのですが、

国立科学博物館来館者の約4割が子供。「子供の来館が増加し、同伴の大人も増えれば、増収になる」(会計課)と期待している。

とも言っているようなので、本当のところはどちらなのかよくわかりません。

うちの息子が恐竜好きということで、東京に行った時にはたびたび科学博物館には行くのですが、幼稚園児はこれまでも無料だったので、我が家にとっては単純な値上げになってしまいます。子供だけで行くことができるような歳になれば完全に無料ということで足が向くのかもしれませんが、親にとっては余計に遠のいてしまうことにはならないでしょうか。

そもそも、国立の博物館や美術館が料金を徴収するというところがどうなのかと思います。イギリスでは博物館や美術館は入館無料というのが当然なので、誰もが気軽に足を運び、学問や芸術に触れることができます。私もかの有名な大英博物館など、よく見学に行きました。それが国民の学力などに直結するというわけではありませんが、文化的な奥行きを感じるというのは間違いないと思います。もちろん、完全に無料というのは世界的にも稀な方なので、日本が特殊というわけではなく、むしろイギリスの方が特別だとは思います。

「科学への関心を高める」というのであればもっと国家予算を振り向けて、高校生以下などと言わずに完全無料でもいいのではないでしょうか。受益者負担という考え方もありますが、誰もが見に行く権利を持っているわけですから、問題はないと思います。ただ、施設が首都圏に集中しているため、他の地方にいる人にとっては不公平感が拭えないとも思われますから、全国のいくつかの都市に分館を作るか、各地に分散させる必要もあるかもしれません。

日本の行政は「民度」のような数字に表れにくいものには鈍感なところがあるようですが、「先進国」を自称するのであれば今後こうしたところにも力を入れていかなければならないのではないでしょうか。

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