海外旅行の際の最初の関門は、文字通りですが入国審査です。アメリカでも韓国・台湾でもタイミングによっては1時間以上並ばなければいけなかったり、厳しい態度の審査官にプレッシャーを感じたりと、あまり良い体験ではないと思います。30年以上前のヨーロッパなどでは日本のパスポートはかなり強力で、表紙を見せるだけで通してもらえたりということも私自身が経験しましたが、さすがに今はそんな緩いことはないでしょう。
それは日本も例外ではありません。どの国でも自分が国籍を持つ国へ入るのは簡単で、日本も最近は自動機でパスポートを読み取って顔写真を撮るだけで済むようになりました。しかし、外国人に対しては厳格な審査が行われているのか、近年の日本観光の人気もあって、外国籍入国者は長蛇の列となっているのを横目に見ながら、日本人は悠々と帰国することになります。
このような状況に対して、日本でも日本版ESTAであるJESTA (Japan Electronic System for Travel Authorization – 電子渡航認証制度)が2028年度を目標に導入されるそうです。これ自体は日本国籍を持つ人には直接関係ないので、国内の関心はあまり高くないのかもしれませんが、これを報じる毎日新聞の記事が興味深いことになっていたので取り上げてみたいと思います。
日本語の記事は「外国人観光客の出入国管理厳格化へ 渡航前の認証制度導入 閣議決定」というもので、JESTAの導入により事前に不法滞在の可能性をチェックして出入国管理を厳格化する、という内容になっています。しかし、これに対して英語版の記事は「Japan mulls abolishing face-to-face immigration checks amid tourism surge」(観光客の急増を受け、日本は入国時の対面審査を不要とすることを検討)となっていて、見出しからして大きな違いがありますし、記事本文にも以下のような記述があります。
Under the proposed system, if no issues are found, such as a history of overstaying, they would be allowed to pass through the gate and enter the country. Immigration officers would be stationed near the gates and could conduct face-to-face checks if they spot suspicious activity.
(提案されている制度では、過去のオーバーステイ歴などの問題が認められない場合、ゲートを通過して入国することが許可される。入国審査官はゲート付近に配置され、不審な動きがあれば対面での審査を行うことができる。)
日本語の記事ではこれに対応するのは「認証を受けた外国人は入国時の旅券への証印が省略される。」という一文のみで、これだけで対面審査自体も省略されるのだと読み取れる人は多くないのではないでしょうか。よく言えば日本国内での不安を和らげるためということかもしれませんが、穏便に済ませようとしているのではないか、という穿った見方もできそうです。
実際のところ、JESTAの導入によって不法入国・不法滞在が減って、なおかつ善良な外国人旅行者がスムーズに入国できるようになるのであれば、人件費も抑えられて良いことづくめであろうと思います。同様のシステムは諸外国ですでに導入されているものなので、後発らしくそれらの教訓を活かしてもらいたいものです。ただ、現在のVisit Japan Webもそれ自体はともかく、現場での運用がうまくないような気がするので、そのあたりも改善してもらえないかと思います。

