私は地方住まいなので知らなかったのですが、最近は飲食店にもファストパスが広がり始めているのだそうです。TDRのプライオリティパスやUSJのエクスプレスパスのような「時間を金で買う」サービスですが、従来からある通常の予約との違いは手数料がかかるというところでしょうか。
待たずに入店できるというサービスが提供されるわけですから、その対価を支払うというのは当然とも思えますし、むしろ通常の予約に手数料が必要ないというほうがおかしいくらいにも感じられるので、私は特にこのファストパスのサービスが問題だとは感じません。それに不満を感じるのであれば、そこへは行かずに別の店に行けばいいだけの話でしょう。
とはいえ、なんでも金がものを言うというのは世知辛いというのもわかります。初めてUSJへ行ったとき、エクスプレスパスが有料だというのを知って、そういうところでしっかり稼ごうというところになんとなく大阪らしさを感じたりもしましたが、忙しいお金持ちが効率よくパークを楽しむためのものだと思って納得しました。この飲食店の場合でも同じようなことでしょう。
しかし、例えば料理が1000円でファストパスが1500円なのだとして、それによって1時間の行列を回避できるのであれば、考え方を変えると実質的には料理が2500円なのと同じで、並ぶことによって時給1500円の仕事をしているのと同じだと考えることもできます。普段時給1500円以上の仕事をしている人にとっては並ぶよりもファストパスの手数料を払った方が得ということになりますし、そうでない人にとっては並んだほうがいいということになります。実際には並ぶ時間も変動するので判断は難しいかもしれませんが、こういう考え方もできるのではないでしょうか。
逆にこのファストパスが無料だったとすると、知っている人と知らなかった人の間で不公平感が生まれる可能性があります。回転寿司などでも事前に来店予約することでイチから並ばずに済むサービスがありますが、私も初めて店頭へ行ってからその存在を知り、損したような気になってしまった記憶があります。店内には大々的にそのお知らせがあったので、普段から来店している人は当然知っているサービスのはずで、自分が知らなかっただけなので仕方ありません。しかし、誰もがそれで納得するかどうかはわかりません。記事にある「堂々と割り込みされているようなもの」という不満は十分に考えられます。
長い行列のできる店でこそ意味のあるサービスですが、そのバランスが悪いと客が離れて行列が短くなり、ファストパスの価値も低くなってしまうので、結構難しいものなのではないでしょうか。ダイナミックプライシングにして需要に応じて調整できるようにするのがいいのでしょうか。そのあたりのバランス設計まで含めて、今後は飲食店経営のノウハウになっていくのかもしれません。

