再びウォーキング中に聞いていた科学系ポッドキャスト「サイエントーク」からの話題ですが、「267. なぜ日本は博士不足と言われる?博士を知って、社会の誤解を解く話」というエピソードで、日本では2022年度の人口100万人あたりの博士号取得者数が123人と他国に比べて少なく、主要国で最も多いイギリスでは355人、韓国・ドイツでも300人以上であるのと比較するとかなり低い水準となっているとのことでした。博士号と修士号を持つ2人のパーソナリティが語ると、憂うべき状況に真実味がこもります。

大学の学部を5年かけてやっとのことで卒業できた私には博士課程なんていう選択肢は最初からありませんでしたが、私が在学していた20世紀末頃は、理系でも修士号を持っていれば就職は有利になるが、博士課程を修了してからでは逆に就職先が限られてしまうというようなことが言われていました。それを聞いても博士課程に進もうという人はやはり稀で、大学に残って研究する道を選ぼうという人くらいのものではなかったかと思います。

実際、私の勤務先でも博士号を持っているという人はかなり珍しく、直接知っているのは1人だけです。しかし「どうしてこの人は重用されているのだろう」と思っていたら実は博士号を持っていたと後から知ったくらいなので、やはり出世に有利に働く場面もあるのだろうと思います。

社外の人でいえば、ヨーロッパの、特にドイツの会社の人では名刺に「Ph.D.」の肩書きがつけられている人がたまにいて、私も「おっ」と思ってしまいます。また、ヨーロッパでは博士号を持つ人に対して明らかに敬意が払われているのを、何度か実体験として見た記憶があります。アメリカでは博士号保持者に出会った記憶はあまりありませんが、ビジネスの世界ではMBAが一種のステータスとして扱われる場面もあり、それに近い雰囲気を感じました。

サイエントークでも言われていたことですが、やはり日本でも企業が積極的に博士号所持者を採用・活用していくというのは、国全体にとっても重要なことだと思います。文科省も「博士人材活躍プラン」(PDF)というもので「博士をとろう」と言っているようですが、このような取り組みを地道に続けていく必要があるでしょう。私の子供たちは既に学部卒で就職してしまいましたが、将来もし孫が進路に迷っているようなことがあれば、一つの選択肢として博士課程を勧めてみてもいいかもしれません。