フェード現象

神戸市が「フェード現象」による事故の防止を呼びかける啓発活動を行っているというニュースを目にしました。

フェード現象というのは私も久しぶりに目にした単語ですが、摩擦材に使われているゴムや樹脂がガス化してブレーキのシューやパッドとローターの間に入って摩擦係数を下げてしまうなど、ブレーキが加熱して制動力が低下する現象のことです。激しいブレーキングが常時繰り返されるモータースポーツの世界では、フェード現象に陥ることは致命的なロスとなりますので、入念な対策が行われています。市販の自動車でも、特に高性能車では放熱性に優れるディスクブレーキに加えて、ベンチレーテッドディスクや、表面に溝・穴を設けたディスクなど、ブレーキの熱を効率よく逃がすための工夫にもコストがかけられています。

そういうこともあって、現代ではフェード現象というのは教習所では重要事項として教えられるけれど、日常的に聞いたり見たりするものではなくなりました。しかし、峠道などには待避所が設けられていたりするように、かつてほどではないにしても特に長い下り坂では注意が必要なことは間違いありません。今回の神戸市の活動も、実際にフェード現象が原因として疑われる、大型レッカー車による事故が発生したことをきっかけの一つとしているようです。

では具体的にフェード現象を避けるためには何に注意したらいいのかということですが、教習所でも教わっているはずですが昔のことなので覚えていないという人もいるでしょう。これは以下の3点となります。

  • スピードを出しすぎない
  • エンジンブレーキを積極的に使う
  • フットブレーキを長時間踏み続けない

要はフットブレーキに頼りすぎないということになりますが、特にブレーキで制動するための運動エネルギーは速度の2乗に比例して大きくなるので、エンジンブレーキでスピードを抑えるということがやはり重要です。その上でブレーキを冷やす時間を作るために、メリハリをつけてフットブレーキを使うというのが効果的となります。とはいえ、今時では「エンジンブレーキってどうやって使うの?」というような人もいそうでちょっと怖いですが… EVの場合は回生ブレーキになりますが、フットブレーキを踏んでも制御で自動的に回生ブレーキが優先されたりしますが、例えば満充電に近いと回生できなかったりするので、別の注意も必要です。

ちなみに同じくブレーキの加熱が原因で起こる「ベーパーロック現象」というのもありますが、原理は違うにしても原因とブレーキが効きにくくなるという結果は似たようなものなので、同じように対策すればいいのではないでしょうか。