阪急・阪神関西から離れたところにお住まいの方にはあまりピンとこない話題かもしれませんが、阪急電鉄グループ(阪急ホールディングス)と阪神グループの2者が経営統合をにらんだ関係強化のための協議を進めている、との発表が行われました。

通称「村上ファンド」ことM&Aコンサルティングによる阪神電鉄株大量取得に端を発したことではありますが、人口が減少していくなど経営環境が厳しくなっていく中でのあり方を考え直すいい機会になったとも言えるようです。阪神側の社員の中にはライバルである阪急に吸収されてしまう形になることに抵抗を感じる人もいるようですが、村上ファンドにより乗っ取られたり切り売りされてしまったりするよりは、ということで全体的には好意的に受け止められているようです。

客の側から見れば、両社の事業は重なり合っているところが多く、競い合いからよりよいサービスを享受することができていたようなところもあったわけですが、統合されてしまうことで合理化の名の下にそのサービスが低下してしまうようなことがないかが少々心配ではあります。タイガースをはじめとする「阪神」のブランドについてはそのまま維持することが明言されていますが、もともと「阪急ブレーブス」という球団を持っていた会社と一つになるというのは複雑な思いを持つ人もいるかもしれませんね。

鉄道事業では梅田から神戸までの阪神電車の主要部分が阪急と完全に平行しているのですが、浜手の下町を走る阪神と、山の手を走る阪急とで明確な棲み分けができているので問題はないでしょう。むしろ両路線の間を連絡する手段が充実すると、利便性はますます向上することになるかもしれません。大阪・神戸間ではJRがスピード面などで両社を圧倒してしまっているのですが、地域に根付いたサービスという面では私鉄の方に強みがあるということもあるでしょうから、両者の連携により巻き返すということもあるでしょうか。

初めて聞いたときには私もまさかという思いでしたが、よくよく考えてみれば意外に理にかなった解決方法かもしれません。日本の実業界は村上ファンドにかき回されているような感じもありますが、いい刺激になっているとも言えるのでしょうか。

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