今年もHockenheim Ringで開催されたドイツGPは荒れ模様のレースとなりました。
まず予選、前GPの決勝の結果の逆順で計測するという今年のレギュレーションによりる5番目の出走という不利な条件ながら、佐藤琢磨はしばらく暫定トップとなる好タイムを叩き出し、結果8番手スタートという悪くない結果を出すことができました。チームメイトのバトンの方も素晴らしいタイムで2番グリッドからのスタートを獲得し、決勝を大いに期待できるものとしました。BAR Hondaもようやく調子が出て来たということでしょうか。
ポールポジションは今一番勢いのあるライコネンが獲得し、アロンソはバトンに次ぐ3番手ということでレースはライコネンが優位に運ぶものと予想されました。もう一台のマクラレン、前戦優勝で波に乗るモントーヤも途中までかなりいいタイムでフロントローはマクラレンが独占は確実、と思われた矢先、最終コーナーでオーバースピードからスピン、タイヤウォールに激突してタイムを出すことができず、最後尾からのスタートとなってしまいました。
決勝では無事にフォーメーションラップを終えた琢磨ですが、今回はスタート直後の第3コーナーに魔物が潜んでいました。ミハエルが好スタートを決めて2位に上がるなど、全体的に大きく順位の入れ替わるスタートとなったのですが、その後方で琢磨はフィジケラのマシンに追突してしまい、フロントウィングを無くしてしまうというアクシデントに見舞われてしまいました。これによって一周目でのピットインを余儀なくされ、大きく順位を落とすことになってしまいました。結局最後までこれが影響することとなってしまったのは言うまでもありません。
またこのところ不運なのはライコネンも同じです。36周目まで圧倒的なスピードでレースをリードし、今回こそはポール・トゥ・ウィンかと期待しながらもつきまとった不安は的中してしまい、油圧系のトラブルにより急激にスローダウン、そのままリタイヤを喫することとなってしまいました。観戦している側も「今年は一体何回彼のこういう姿を見せられることになるのだろうか」と感じてしまいますが、ライコネン本人にとっては彼自身の責任ではないだけにフラストレーションの溜まっていることでしょう。ライコネン自身のドライビングは申し分ありませんし、マシンのピーク性能も間違いなく現在のマシンの中では最高レベルにあるはずですから、あと必要なのは安定性・信頼性だけです。それが一番難しいのかもしれませんが…
レース自体の結果はライコネンの後ろをしぶとく走り続けていたアロンソがまたしても勝利をものにし、今季6度目の優勝ということになりました。2位には驚くべきことに最後尾スタートのモントーヤが付けましたが、予選のクラッシュさえなければ間違いなく勝利は彼のものだったのではないかと悔まれます。3位にはバトンが入り、改めて今季初の表彰台を獲得することができました。終盤まで3位を走行していたミハエルは最後の最後でバトンに抜かれて4位に沈み、かつての「皇帝」の威光はどこへやらといった感じではありますが、着実にポイントを獲得してドライバーズランキング3位を堅持しています。
今回も結果を残すことができなかった琢磨は引き続き唯一のノーポイントドライバーとなってしまったわけですが、いよいよ来季のシートはあやしくなってきてしまったのではないかと心配は募るばかりです。そんなことは本人が一番わかっているはずで、彼なりに精一杯のことをしているのは間違いないことですから、我々は彼を信じて応援を続けていくしかありません。今のF1において、最もエキサイティングなドライビングを見せてくれるのは彼のはずですから、きっと近いうちに輝かしい結果を残してくれることでしょう。また現在最速のドライバーであろうライコネンにも、このままアロンソの独走を許すことなく、来週こそは無事にトップチェッカーを受けて欲しいと思います。