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Super Size Me

食前食中には向きません。

皆さんはファーストフードはどの程度食べるでしょうか。人生も折り返し点を過ぎたかという私は、今後の食事の回数も意識するようになってしまい、つまらないもので空腹を満たさないようにしたいと思っているので、ファーストフードも食事としてはめっきり食べなくなりました。ただ、シナモンメルツはそのあたりのシナモンロールよりもアメリカのものをよく再現しているので、ついついコーヒーと一緒に食べてしまいます。また、日本でもファーストフードの代表であるマクドナルドでは週末の昼時になるとドライブスルーに長い車列ができていて、高い人気があるのがわかります。

そんなMcDonald’sで売られているものだけを30日間3食すべて食べていたらどうなるか、という実験を監督が自分の体でやってみたということで有名な作品「スーパーサイズ・ミー」がAmazon Prime Videoに登場していたので、今のうちにと観てみました。

スーパーサイズ・ミー(字幕版)

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どんなに体に良いものでも同じものばかり食べ続けるのは良くないということはわかりきったことですが、ファーストフードだけだとどんなことになるのか、この作品以前には実験してみた人はいなかったのではないでしょうか。実験開始時点では健康そのものといった肉体が一体どうなってしまうのか、怖いもの見たさのようなものがありました。

しかし、この作品はそんな面白半分のものではなく、実験の様子と並行してアメリカの食生活を取り巻く問題を提示していきます。作中でも取り上げられていますが、特に公立学校の給食は酷いもので、私の在米中に子供が通っていたミシガン州の学校もピザやチキンナゲット、フレンチフライといったようなジャンクフードばかりでした。ファーストフードでもサラダ代わりにポテトチップスを渡される場合がありますが、そういうことを何とも思わないのもこうした学校生活なら納得してしまうものです。

こうした社会問題に一石を投じた作品ですが、私は観たあとでめっきり食欲を失ってしまいました。本作が話題となったことは、マクドナルドだけでなくファーストフード業界に痛烈な一撃となったかもしれませんが、この作品のあともアメリカの状況は大して変わったように見えないのが残念です。私はこれ以前のアメリカを生で見てはいないので、もしも変わったからこそ今の状況だというのなら、以前はどんなに酷かったのかと予想もできないほどです。

私は在米中にマクドナルドに行ったのは早朝のミーティング前に他に開いているところがなくて仕方なくドライブスルーで朝食を買っただけですが、Wendy’sには行っていたので大して変わりませんね。一応、食べた感じは結構違うのですが、脂肪や塩分が多そうなのは一緒です。まあ、アメリカで外食しようと思うとファーストフード以外でも脂肪や塩分、熱量は多いので、ちゃんと家で手料理を食べなければいけないのでしょうね。当たり前のことでしかありませんが。

American Made

これが実話とは。

1991年のクリスマスにソビエト連邦が崩壊するまで、それぞれソ連とアメリカを中心とする東西国家の間では冷戦状態となっていたわけですが、その裾野ではKGBとCIA (中央情報局)による各種工作合戦が繰り広げられていました。その中で実際にあったことをもとにしたという映画「バリー・シール/アメリカをはめた男」を観てみました。

バリー・シール/アメリカをはめた男(吹替版)

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実話をもとにした話ということで、主人公は邦題にもなっているBarry Sealという、1970-80年代のアメリカで暗躍した実在の人物で、Tom Cruiseが演じています。私はまったく予備知識を持たずに観始めたのですが、メデジン・カルテル、コントラ、サンディニスタ民族解放戦線という中米の組織がいろいろ関わってくるので、これらについて何らかの知識を持っておいた方がより楽しめるかもしれません。また、CIAのほかFBI (連邦捜査局)、DEA (麻薬取締局)、ATF (アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)といったややこしいアメリカの捜査組織の職掌についても知っておくとちょっとだけ面白いでしょうか。

作品はあくまで実話を「もとにした」もので、脚色として事実から変えてあるところもいろいろあるようですが、Barryがアーカンソー州のMenaという田舎町の空港を拠点として麻薬の密輸を行っていたことは事実のようです。当初の作品名はずばり”Mena”としようとしていたそうですが、それはさすがに直接的すぎるのでやめたということでしょうか。現在5000人余というMenaの町の住人にはちょっと複雑ですよね。なお原題が”American Made” (アメリカ製)というのに対して、「アメリカをはめた」という邦題では大胆不敵な人物をイメージさせてはいますが、私が見たところではアメリカを騙したわけでも、国に陥れられたわけでもないようで、ちょっと印象操作になっているような気がします。

ということで、作品自体も1980年代風の映像となっていて、そういう面でもいろいろ楽しめたのですが、あまり人が死んだり痛い目に遭う直接的な描写がないというところも良かったです。私はどうも暴力描写が苦手なので極力避けて欲しいと思うのですが、それがリアリティだと思う人もいるようなのが困ったものです。いやしかし、ここ数年でTom Cruiseがだいぶ好きになってきたような気がします。

Three Billboards Outside Ebbing, Missouri

観ておいて良かったです。

20世紀フォックスの子会社でインディペンデント系に強い映画製作会社のFox Searchlight Picturesという会社がありますが、「JUNO/ジュノ」や「スラムドッグ$ミリオネア」などの有名作品の他、良い作品を色々扱っていて私も常々注目しています。巨額の製作費をかけた超大作でなくても、面白い映画はいくらでもあるということを思い知らせてくれる良いスタジオだと思っていますが、日本では先週から公開されている「スリー・ビルボード」という作品がヴェネツイア国際映画祭に出品されて好評を博し、アカデミー作品賞にもノミネートされているなど高い評価を得ているようなので、私は普段あまり観ない犯罪ドラマというジャンルではありますが、土曜日の朝から映画館に観に行ってみました。

娘を強姦殺人で亡くしたMildred Hayesが、何ヶ月たっても一向に犯人を見つけることができない警察への抗議のため、町の寂れた道路に面する3枚の大きな看板に「RAPED WHILE DYING (レイプされて殺された)」「AND STILL NO ARRESTS? (なのにまだ逮捕なし?)」「HOW COME, CHIEF WILLOUGHBY? (どうして? ウィロビー署長?)」という広告を出すところから物語が始まります。これに対し、町の人々はMildredに同情しながらも、敬愛されるWilloughbyへの個人攻撃に対しては賛同しません。特にWilloughbyを慕うJason Dixonは激しく反応しますが、その後様々な展開が起こることになります。

Mildred役のFrances McDormandやDixonを演じているSam Rockwellの演技が特に高く評価されているようですが、確かにMildredの静かな狂気と対極的なDixonの激しさと終盤の二人は見応えがあると思います。また、Willoughby役のWoody Harrelsonは悪役で見ることが多いですが、本作ではとても良い人のように見えますし、とても存在感があります。ちなみに、WikipediaによるとWoodyの父親は「マフィアの雇われ殺し屋」で、終身刑で服役中に死去したとか…母の方は「弁護士秘書」だとかでそれも驚きですが、いずれにしても本人とは直接関係のないことですね。

本作は脚本が本当に良くできていて、私も面白くていつの間にか時間が経っていたという感じでした。製作費は1200万ドルということですが、たとえば昨年末の「最後のジェダイ」は2億ドルですから、やはり製作費と映画の面白さには直接の関係はないということです。脚本が全てということではありませんが、創造力、クリエイティビティしだいでいくらでも面白いものは作れるということではないでしょうか。もちろんStar Warsのようなものを作ろうとするとどうしてもお金は掛かってしまうのですが。