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Yesterday

損害賠償がちょっと心配です。
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突然地球規模の停電が起こり、売れないミュージシャンのJack Malikが交通事故に遭って目を覚ますとそこはThe Beatlesのいなかった世界だった、というドラえもんひみつ道具もしもボックス」で「もしもビートルズがいなかったら」と言ったときのような話が、先日観た映画「イエスタデイ」のストーリーです。JackはThe Beatlesの楽曲を思い出して再現しては自分が作ったかのように売り出していき、世界的なスターへの道を歩み始めるのですが、そんな彼にも良心の呵責があって…というような感じです。

本作にはEd Sheeranが本人役で出演したりもしているのですが、主人公Jackを演じているのは先日観た「TENET テネット」にフィクサーとして登場し飛行機を操縦するMahirを演じていたHimesh Patelです。ただ、TENETでは物静かな落ち着いた役だったので本作のJackとはだいぶイメージが違っているのではないでしょうか。なお、本作がAmazon Prime Videoで無料で観られるようになっているのはTENETのプロモーションのためなのでしょうか。

必然的に劇中歌として何曲もThe Beatlesの楽曲が使われているのですが、Jackが覚えていてコピーできるような曲ということで、誰でも聴いたことがあるような名曲の数々が使われることになっています。実はThe Beatlesの曲についてはあまり良く知らない私でもほとんどの曲を知っていたので、ちょっとでも洋楽に関心のある人であればだいたい聴いたことがあるものばかりなのではないでしょうか。しかし、サントラ盤もありますが、やはり聴くならオリジナルの方を聴くべきでしょう。

もちろん本作は完全なファンタジーですが、The Beatlesへの敬意と愛はちゃんと感じられる物語になっていて、結末はちょっとほろ苦いような感じでジーンと来るような話になっています。The Beatlesが好きな人はもちろん、そうでない人は入門編としても楽しめる作品になっているのではないでしょうか。

Tenet

もう一度観たい。
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COVID-19の影響で撮影の中断や上映の休止など大きな影響を受けた産業の一つが映画ですが、なんとなくほとぼりが冷めてきたということなのか徐々に新作の公開が再開されるようになってきました。それには座席を間引くという映画館としては非常に苦しいであろう対策もあってのことですが、なんとか劇場にもまた従来どおりの賑わいが戻るようになってほしいものです。

さて、私もまた久しぶりに劇場へ足を運ぶことになったのはChristopher Nolan監督作品の「TENET テネット」が公開されたためです。これまでは、たとえばSteven Spielbergであれば外れということはないだろう、という程度にしか映画監督を意識することもありませんでした。しかし、Nolan監督についてはフィルモグラフィーを見ると「バットマン ビギンズ」以来のダークナイトトリロジーを始めとするDCコミックシリーズの多くを監督・製作していたり、「インセプション」、「インターステラー」というハードSF作品、重厚な「ダンケルク」という、私が良いと思った作品ばかりが上がっており、今後もこの監督の作品を追っていけば間違いないだろうと思えます。

ということで公開初日に観に行ってきたわけですが、まったく期待に背くことのない素晴らしい作品でしたが、今回もハードなSF作品であり、終映後に後ろの方の席から「全然わからなかった」という声が聞こえてきたとおり、SFに馴染みのない人にとっては非常に難解なものであったろうと思います。私もあえて予備知識をまったく入れずに観てきたとおり、皆さんにもネタバレすることのないようにしたいので、ストーリーについては一切触れないことにしますが、一種のタイムトラベルものとも言えるでしょうか。

タイムトラベルものに付き物なのは伏線回収の醍醐味ですが、この作品でもそれはしっかり意識して作られているので、伏線回収ものが好きな人にも楽しめるのではないでしょうか。私自身も大好物なので、その点でもとても楽しく見ることができました。

映像としてはフィルムでの撮影にこだわっているというNolan監督が、あのクライマックスの複雑な戦闘シーンをどのように作ったのか、非常に興味が湧きます。見ている方もあまりの複雑さに混乱してしまい、私も1回観ただけではすべてを把握することはできなかったのですが、撮影する側の困難はそれを遥かに上回るもののはずです。コンピューターグラフィックスとコンピューターシミュレーションを活用すればまだなんとかなりそうな気もしますが、あくまで実写でとなるとその複雑さは私の想像力の限界を超えてしまいます。

その名もProtagonist (主人公)という主役を演じるのはJohn David WashingtonであのDenzel Washingtonの長男ですが、NFLLos Angeles Ramsの元選手だったという人なので、その肉体も生かされた役になっています。敵役のAndrei SatorはKenneth Branagh、Satorの妻でヒロインのKatはElizabeth Debickiが演じていますが、Elizabethの191cmという長身はすごく存在感があります。主人公の相棒となるNeilの役は「トワイライト」サーガでEdward Cullenを演じていたRobert Pattinsonですが、彼もとてもいい歳のとり方をしたようで、個性のある俳優になったのではないでしょうか。なお、Nolan監督作品ではお約束のMichael Caineもイギリス貴族のちょい役で出演しています。

ということで、いろいろな面で楽しむことができましたし、ストーリーも完全に理解したかどうか自信もなく、伏線も100%回収できたかどうかもわからないので、できればもう一度映画館で観てみたいと思っています。ちょっと時間をおいて2週間後くらいがいいでしょうか。今度はネタバレもなにもないので、それまでの間に見るべきところを調べておいてから臨むのも悪くないかもしれません。

Wonder

現実はさらに困難なのでしょうが。
👦🏼

学校での子供同士のいじめが社会問題となってから久しいと思いますが、それは何も日本だけの問題ではありません。私も子供たちを編入させるにあたって、アメリカの学校でいじめと差別に関するポリシーについてほとんど最初に説明を受けました。ただ、私はその時に日本人の子供たちがアメリカの学校でいじめる側に回るということを想像できなかったので、あまり真剣な態度では聞けなかったと思いますが、いじめの中心ではなくても知らず識らずのうちにでも加担してしまうということは想定すべきだったかも知れません。

さて、今回観たのはアメリカの学校での差別といじめの問題を題材とした2017年の映画「ワンダー 君は太陽」です。

本作はR. J. Palacioによる小説「ワンダー」を原作にしたものですが、あらすじとしては生まれつきの難病で顔面が変形してしまっており、27回の手術を繰り返してきたAugust “Auggie” Pullmanが10歳で初めて一般の学校へ進学し、一部からはいじめを受けつつも家族に支えられて少しずつ友人を増やしていく、というような特にひねりのない素直な話です。したがって面白いという映画ではありませんが、心のきれいな人は感動できるのではないでしょうか。

ただ、映画としてはちょっと凝ったところがあって、部分的に主人公を切り替えてその人の視点からの出来事として描いていて、その時その人がどう考えていたのかということを描写しています。これはあらゆる出来事には関わる人の数だけ見方があって、一見単純なようなことでも背景には様々なことが隠れている、ということに気づかせてもくれて良いのではないかと思いました。

なお本作の主演はAuggieの母親を演じたJulia Robertsということになっているようですが、これは俳優の序列の上でそうなっているだけで、物語の主人公はあくまでAuggieであり、彼を演じるJacob Tremblayの演技が光る作品となっているのではないでしょうか。また、他の子供たち、特にAuggieの親友となるJack Willを演じていたNoah Jupeの演技も非常に良かったのではないかと思います。

ということで、本作は実際に難病による障害を抱える人達からは「感動ポルノだ」というような批判もあるとのことで、確かに私も「感動するように作られた話」というように感じてしまいました。本当は障害とその困難な現実に対する理解を深めることもできるような内容になっていたら良かったのだろうと思いますが、本作ではきれいにまとめすぎたのかもしれません。