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The Hateful Eight

つくづく、こんな時代に生まれなくて良かった。

「キル・ビル」などのヒット作で知られる映画監督Quentin Tarantinoの作品はバイオレンス描写がえげつないということでも知られており、それが苦手なので私は今まで興味を持ちつつも一度も観たことがありませんでした。しかし、今回観た「ヘイトフル・エイト」については予告で観て興味を惹かれたのを覚えており、レビューを見ると私の好きな伏線回収もののように書かれていたので、意を決して観てみたというわけです。

ヘイトフル・エイト(吹替版)

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物語の舞台は南北戦争集結の数年後のアメリカ中西部、ワイオミング州の山の中です。日本で暮らす普通の人にはワイオミング州といってもアメリカのどこなのかピンとこないと思いますが、州境が直線4本で描かれるほぼ完全な長方形の州で、その北西の角にイエローストーン国立公園を含んでいます。また、現在全米50州の中で最も人口が少なく、南北450km、東西550kmという広大な面積の中に50万人余りしか住んでいないということですから、今でも相当な田舎であり、当時はさらに相当な僻地だったということは間違いないでしょう。

南北戦争が終わったのは1865年ということですから、今からおよそ150年前のこと、日本で言えばちょうど幕末から明治維新の時期にかけての頃の話ということになります。日本の長州征討とアメリカの南北戦争がほぼ同じ時期の出来事だったということは私も知りませんでしたが、日本史と世界史とを完全に分けて教えられてきた弊害ですね。まあ、私は歴史の授業が非常に苦手で全く頭に入っていないだけなのかもしれませんが。

そんな時期のアメリカは全く野蛮な社会だったようです。昨年ヒットした「レッド・デッド・リデンプションII」というゲームが1899年のアメリカを舞台にしたオープンワールドゲームですが、この映画より若干あとにはなりますが同じような世界観で、一時期このゲームの実況プレイを観ていたのでちょっと馴染みのある感じでした。

Samuel L. Jackson演じる主人公のMarquis Warrenは元北軍少佐の賞金稼ぎで、いきなり3人分の死体を携えて登場します。そこへ通りがかったO.B. Jacksonの馬車に乗るKurt Russel演じるJohn Ruthと、Johnが連れた賞金首のDaisy Domergueらが物語に加わることになり、その後も加わって互いに信用できない者どうし合計8人となって駆け引きが繰り広げられるというものです。このストーリーが合計6章に区切られているというのは、小説を読んでいるような感じで面白い仕掛けではないでしょうか。

ストーリーは非常に面白かったのですが、やはり特に終盤の残虐描写が私にはキツかったです。もしも本で読んでいたとしたら、仮に同じような情景を頭に浮かべるのだとしても、きっとその方が純粋に楽しむことができたのではないかと思います。結局、Tarantinoを避けてきたのは正解だったということなのかもしれませんが、直接的な残虐描写を除けばとても素晴らしい監督なのだと思うので、なんだか大変残念です。

しかしこんな野蛮な時代に生まれなくて本当に良かったと思いますが、アメリカには未だに賞金稼ぎという職業が存在するということが驚きです。世界最高の文明社会のような面をしていますが、古いものやその名残もたくさん残っているのがアメリカなのですよね。

Searching

10年後に観たらどう感じるか…

先週の金曜日は世間では一般的でない文化の日の代休ということで私の勤務先は休みで、その前日は週末扱いで残業禁止日だったのですが、それがちょうど11月1日だったので毎月1日の映画の日だったのでした。8月までは何本も観たい映画の公開が続いていたのに9月に入ってからパッタリと無くなってしまい、2ヶ月ほど映画館から遠ざかってしまっていたのですが、11月からは怒涛のラッシュが続いていて、その先頭として1日には「search/サーチ」を観ることにしました。

この作品が注目されているのは、アジア(韓国)系アメリカ人のJohn Choが主役であるということです。JohnはJ. J. Abramsの「スター・トレック」シリーズでHikaru Suluを演じていてアジア系俳優の中ではかなり存在感がありますが、それでもアメリカ映画はやはり白人中心のものなので、そんな状況でこの作品が高く評価されたという面はあります。

もう一つの特徴はこの作品の映像がすべてPCの画面の中で描かれているという点です。俳優が演じる場面もFaceTimeのビデオ通話だったり、ウェブのニュースサイトの動画だったり、あるいはネットワークカメラの映像だったりと非常に凝ったものになっています。また、iMessageのテキストで会話が進む場面などもあり、現代人には馴染みのある様々なツールが使いこなされています。

使われているPCも最初はWindows XPだったのが今はMacになっていて、FaceTimeやiMessageが使われることになっているのですが、このあたりはSkypeでもいいのかもしれませんがApple製品でないときれいに描けないところだったりするのかもしれません。しかし使われているブラウザはChromeでした。これらの他にも、GoogleやFacebook、Twitter、Instagramなど実在のサービスがそのまま使われているのがまたリアリティがあってよいのではないかと思います。多くの場合何らかの影響を考慮してかよく似た架空のサービスを作って使用されるのではないかと思いますが、それではいかにも作り話のように感じられてしまうものです。ここで実在のものが使われることで、現実との境目が曖昧になってくるのではないでしょうか。

ストーリーの方は観てのお楽しみということにしておいた方が良いと思うので語りませんが、普段インターネットに接する機会の多い人、時間の長い人ほど楽しめるような気がします。私はJohn演じるDavidがうまいことネットを使いこなしているな、と感心してしまって、それも面白かったところです。ただ心配なのは現代のインターネット事情を背景にしているため、陳腐化してしまうのも早いのではないかということですね。したがって、観るなら今のうちに観ておくべきでしょう。

Mission: Impossible – Fallout

さすがにこのシリーズでハズレはない。

Tom Cruise演じるEthan Huntが派手なアクションを繰り広げるスリリングなアクション映画、「ミッション:インポッシブル」シリーズの最新作、「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」が前作「ローグ・ネイション」に続いて3年ぶりに公開されました。本作はシリーズ6作目に当たるということですが、最初の作品「ミッション:インポッシブル」は1996年の公開ということですから、すでに20年以上が経過していることになります。

当時30代前半だったTomももう56歳となって衰えも見えるかと思いきや、相変わらずスタントダブルを使わず危険なアクションを自らこなしつつ、かつ実年齢なりの円熟味も見せるという、アクション俳優として理想的な歳の重ね方をしているように見えます。本作ではビルからビルに飛び移るシーンで肋骨を骨折するという事故がありつつもそのまま撮影を続行したという武勇伝が報じられていましたが、観ていて「ここか!」という場面はわかりましたが、全くそんな気配は見せないので知らなければ気づきもしなかったでしょう。これぞ真のプロフェッショナルということでしょうか。

脇を固めるBenjiとLutherも引き続きの出演ですが、Benji役のSimon Peggのコミカルな表情もこのシリーズには欠かせないものと言えるでしょう。August Walker役のHenry Cavillは出てきたときから只者ではない雰囲気が漂っていて、作中で重要な役柄を担っていることがわかってしまい、存在感があるのも良し悪しといったところでしょうか。まあ、なんといってもSupermanですからね。また謎の女性、White Widowを演じているのはVanessa Kirbyですが、妖しい雰囲気がとても良いです。

ちょっと混乱したのはRebecca Fergusonが演じるIlsa Faustと、Michelle Monaghanが演じているEthanの元妻Juliaの雰囲気がとても良く似ていることです。並んでみると全然違うのですが、パっと写真が出てきたときにどちらなのかすぐにわからなくなってしまいました。Ethanが愛した2人の女性なのですから、似ていても当然といえば当然なのですが。

ということで、作品自体は2時間半近い上映時間の間、息をつく間もないアクションの連続で、まさに手に汗握るジェットコースタームービーというものでしょうか。きっと期待を裏切ることはないでしょう。ただし今回も字幕は戸田奈津子氏、”the greater the pain, the greater the peace”を「苦しみの後に平和は訪れる」って、それはないでしょう。本来「苦しみが大きいほど、大きな安らぎを得る」で甚大な被害を予想させているのに単なる前後関係にしてしまうとは… しかし吹替版もDAIGOや広瀬アリスがやってくれているようなので、どっちもアレなのが困ったものです。