古き佳き時代。
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Sharon Tateという女優と、そのSharonがManson Familyというカルト集団に惨殺されてしまった事件というのは日本ではどの程度知られているのでしょうか。事件が起こったのが今からちょうど50年前の1969年という私が生まれる直前であることもあり、私は何一つ知らなかったのですが、現代のようにインターネットで世界中の情報がリアルタイムに得られるような環境ではありませんでしたし、わたしの両親の世代であれば知っていることなのでしょうか。Sharon Tateについても26歳という若さで、これからというところで亡くなってしまったため、この事件を知らなければ知られていないのではないかと思いますが、映画監督Roman Polanskiの当時のだったとのことです。

というようなことなのですが、この事件を背景とし、SharonやRoman Polanskiも登場するQuentin Tarantino監督の作品「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が昨日封切られたため、初日のレイトショーで早速観てきました。この日は夏休み最後の週末であったためか、それとも地元の姫路城が舞台となっている「引っ越し大名!」の公開初日だったためか、普段はレイトショーならガラガラの映画館の駐車場に長蛇の列ができていて、並んでいては開演に間に合わないようだったので仕方なく近隣のコインパーキングに停めざるを得ないという状況でした。そうとわかっていれば徒歩かバスかで行ったのですが仕方ありません。

それはさておき、本作ではピークを過ぎてやや落ち目の、かつてのテレビスター俳優Rick Daltonと、スタントダブルと友人としてRickを公私ともに支えるCliff Boothという二人を主人公としてハリウッドを舞台に起こる出来事を描いた話となっています。主人公らはそれぞれLeonardo DiCaprioBrad Pittという現代の映画スターが存在感たっぷりに演じており、特にLeoの劇中劇の演技にまで魅せられてしまうほどです。そしてSharon Tateを演じるのは「スーサイド・スクワッド」でのHarley Quinnがとても良かったMargot Robbieです。本作中のSharonはちょっと頭が足りない感じに描かれているように感じましたが、超ミニスカートで闊歩する姿はとてもキュートでした。

本作の論評を見ると「ストーリーがない」というようなことを言う人が多いようなのですが、確かにカット間の関係が非常に希薄で、一見不要なシーンが多々あり、一体どういう話なのか、どこへ向かっているのかということはわかりにくいかもしれません。しかし私が驚嘆したのは、それぞれのなんでもないカットが非常にかっこよく撮られているということで、おそらく様々な定石を踏まえて、巧妙に計算し尽くされているということなのでしょう。本当にただの移動シーンでも「うわっ」と思うようなカッコ良さで、映画オタクのTarantino監督ならではではないでしょうか。

なおTarantinoといえば過剰なバイオレンス描写も特徴ですが、それも最後にしっかりあります。なにしろ「シャロン・テート殺害事件」がテーマですから…