Tenet

もう一度観たい。
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COVID-19の影響で撮影の中断や上映の休止など大きな影響を受けた産業の一つが映画ですが、なんとなくほとぼりが冷めてきたということなのか徐々に新作の公開が再開されるようになってきました。それには座席を間引くという映画館としては非常に苦しいであろう対策もあってのことですが、なんとか劇場にもまた従来どおりの賑わいが戻るようになってほしいものです。

さて、私もまた久しぶりに劇場へ足を運ぶことになったのはChristopher Nolan監督作品の「TENET テネット」が公開されたためです。これまでは、たとえばSteven Spielbergであれば外れということはないだろう、という程度にしか映画監督を意識することもありませんでした。しかし、Nolan監督についてはフィルモグラフィーを見ると「バットマン ビギンズ」以来のダークナイトトリロジーを始めとするDCコミックシリーズの多くを監督・製作していたり、「インセプション」、「インターステラー」というハードSF作品、重厚な「ダンケルク」という、私が良いと思った作品ばかりが上がっており、今後もこの監督の作品を追っていけば間違いないだろうと思えます。

ということで公開初日に観に行ってきたわけですが、まったく期待に背くことのない素晴らしい作品でしたが、今回もハードなSF作品であり、終映後に後ろの方の席から「全然わからなかった」という声が聞こえてきたとおり、SFに馴染みのない人にとっては非常に難解なものであったろうと思います。私もあえて予備知識をまったく入れずに観てきたとおり、皆さんにもネタバレすることのないようにしたいので、ストーリーについては一切触れないことにしますが、一種のタイムトラベルものとも言えるでしょうか。

タイムトラベルものに付き物なのは伏線回収の醍醐味ですが、この作品でもそれはしっかり意識して作られているので、伏線回収ものが好きな人にも楽しめるのではないでしょうか。私自身も大好物なので、その点でもとても楽しく見ることができました。

映像としてはフィルムでの撮影にこだわっているというNolan監督が、あのクライマックスの複雑な戦闘シーンをどのように作ったのか、非常に興味が湧きます。見ている方もあまりの複雑さに混乱してしまい、私も1回観ただけではすべてを把握することはできなかったのですが、撮影する側の困難はそれを遥かに上回るもののはずです。コンピューターグラフィックスとコンピューターシミュレーションを活用すればまだなんとかなりそうな気もしますが、あくまで実写でとなるとその複雑さは私の想像力の限界を超えてしまいます。

その名もProtagonist (主人公)という主役を演じるのはJohn David WashingtonであのDenzel Washingtonの長男ですが、NFLLos Angeles Ramsの元選手だったという人なので、その肉体も生かされた役になっています。敵役のAndrei SatorはKenneth Branagh、Satorの妻でヒロインのKatはElizabeth Debickiが演じていますが、Elizabethの191cmという長身はすごく存在感があります。主人公の相棒となるNeilの役は「トワイライト」サーガでEdward Cullenを演じていたRobert Pattinsonですが、彼もとてもいい歳のとり方をしたようで、個性のある俳優になったのではないでしょうか。なお、Nolan監督作品ではお約束のMichael Caineもイギリス貴族のちょい役で出演しています。

ということで、いろいろな面で楽しむことができましたし、ストーリーも完全に理解したかどうか自信もなく、伏線も100%回収できたかどうかもわからないので、できればもう一度映画館で観てみたいと思っています。ちょっと時間をおいて2週間後くらいがいいでしょうか。今度はネタバレもなにもないので、それまでの間に見るべきところを調べておいてから臨むのも悪くないかもしれません。

Rambo: Last Blood

何事も準備が大事。
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COVID-19による緊急事態宣言や自粛ムードの影響を最も大きく受けている産業の一つが映画産業だと思いますが、私の地元の映画館でも一時期休館や時短営業となっていましたし、新作の公開も延期になってスケジュールが大幅に乱れることになりました。それがようやく通常営業を再開できるようになりましたが、現在でも座席を1つずつ空けて千鳥状に使用し、マスク着用を必須とするなどの対策を取っての再開です。しかしともあれ、そんな状態でもなんとか観られるようになったということで、私もかなり久しぶりに映画館へと足を運んできました。

今回観たのは「ランボー」シリーズ最新作にして最終作、「ランボー ラスト・ブラッド」です。「ランボー」といえばSylvester Stalloneが当たり役を得た代表作で、ベトナム帰還兵であるJohn Ramboを主人公とするシリーズですが、今作の公開に合わせてAmazon Prime Videoで過去作が全て見られるようになっていたので、予習のためにも一部は改めて、一部は初めて観ておきました。1982年、私も小学生だった40年近く前に始まったシリーズなのでもはや観たはずのものも記憶にほとんど残っていませんでしたが、それぞれの作品でJohn Ramboのキャラクター以外にはストーリー上の繋がりがほとんどないので、予習は必ずしも必要ではないでしょう。

1作目では田舎の保安官らに売られた喧嘩で、2作目「ランボー/怒りの脱出」ではベトナムの捕虜収容所から捕虜を救出するためにソ連軍を相手にし、3作目「ランボー3/怒りのアフガン」ではアフガニスタンからかつての上官を救出するために再びソ連軍と相まみえ、4作目「ランボー/最後の戦場」はミャンマーからのNGOメンバー救出のためのミャンマー軍との戦いでした。それから11年後の5作目ではメキシコ人身売買カルテルに対する私怨を晴らすことになり、これまでの作品と比べると大義としてそれでいいのかという気がしてしまいます。さらにこれがメキシコに対する差別や偏見、先入観に繋がるという非難もあるようで、シリーズとして古く、Stalloneもかなり高齢ということもあって、すでに昨年公開されているアメリカでの興行成績は芳しいものではないようです。

4作目はRamboがアリゾナ州ボウイーの実家に帰ったところで終わっていましたが、本作でもRamboはこのボウイーの家で暮らしています。このボウイーの町からメキシコとの国境まではどの程度の距離なのかと調べてみると、車で2時間足らずということなのでRamboが何度か行き来しているのも苦ではないでしょう。1作めの原作である「一人だけの軍隊」が書かれた時には本作への繋がりなど考えていたはずはないのですが、ちょうど良い設定になっていたようです。クライマックスの舞台となるのもこの実家ですが、お楽しみのためにこれ以上は書かないほうがいいでしょう。

4作目もグロテスクな描写が多くてやや辛かったのですが、本作も日本でR15+、アメリカではRというレイティングになっているので、遠慮なく直接的な描写が行われていて、苦手な人は観ないほうがいいかもしれません。ただ、終盤のRamboが敵を迎え撃つための仕掛けを作っていくところは大人版「ホーム・アローン」という感じでちょっとワクワクしてしまったりもします。

しかしこういう映画を観ていていつも感じてしまうのは、倍返しどころではなく100人ほどの命を奪う報復になっているのですが、正義のためであれば命も軽くなってしまうものだということですね。現実感なくいつの間にかこういう価値観を身に着けてしまうのも問題ではないのでしょうか。

Valerian and the City of a Thousand Planets

ISSがこんなになるなんて。
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私は映画好きでありながら、店頭の棚が探しづらくてレンタルビデオがあまり好きではなかったのですが、自宅のPCで気軽にブラウジングしていると思いがけない発見があるのがAmazon Prime Videoのいいところです。もちろん他の映画配信サービスでも同じことなのですが、プライム会員は一部の作品だけ無料、というのが実は良くて、選択肢を狭めてくれるおかげで探しやすくなっていると思うのです。本当に観たい作品はお金を払って観ればいいのですが、暇つぶし程度に気軽に観るのであれば無料であるに越したことがありません。

そんな感じでいつものように何かないかと探していて目に留まったのが「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」でした。この作品は初期の予告を見たときから観たいと思っていたものの、どういう経緯だったか見逃してしまっていたのですが、こうして再び巡り会えたので早速観てみることにしたのでした。


ヴァレリアン 千の惑星の救世主(字幕版)

Luc Bessonが監督・製作・脚本に携わっているフランス映画ですが、英語で製作されています。少なくとも欧米では現地語への吹き替えが一般的だと思いますが、フランスではフランス語に吹き替えられたのでしょうか。フランス語のWikipediaを見るとVF (version française)としてフランス語版の声優らしき名前が書かれていますので、きっとそうなのでしょう。

主演はValerian役にDane DeHaan、Laureline役にCara Delevingneとなっていますが、Dane DeHaanは童顔でハリウッド映画にはないタイプのキャスティングで面白いと思います。一方、Cara Delevingneはとても美しく、凛々しくて素敵でした。作品のタイトルはValerianになっていますが、Laurelineの存在感も彼に引けを取らないものではないでしょうか。なお、Daneは小柄なように見えてしまいましたが、それはCaraの身長がDaneと同じ173cmだからということのようです。

監督としてのLuc Bessonの「グラン・ブルー」、「ニキータ」、「レオン」あたりまでの作品は名作と言われるものになっているものの、最近の作品は興行的には振るわないものが多いようですが、独特の世界観があって私は結構好きです。90年代では「フィフス・エレメント」、最近では「LUCY」などのSF作品も独特の色彩感があったりして、この「ヴァレリアン」でも同じような良さがあると思います。一方、「TAXI」シリーズや「トランスポーター」シリーズその他の製作・脚本では数多く成功を収めているので、独特の映像が逆に万人受けするものではないということなのでしょうか。

私は結構気に入ったのでシリーズ化を望みたいところですが、残念ながら興行は「大失敗」とされているようなので続編は無理でしょうね。しかし、その責任をとって製作会社Europa CorpのCEOが辞任するというのはわかるのですが、その後任がLuc Bessonというのはちょっと理解できません…