これは日本だけの話ではないのですが、大した意味もなく外国語を使って格好を付けるということが良くあります。アルファベットで書くとなんとなくスタイリッシュに見えるというのはわかりますし、それが単なるデザインでしかなく本当に意味がないのであればなんと書いてあろうと構いません。

近所の回転寿司店では天井から垂れ幕がかかっていて、下の方に何やらアルファベットで書いてあるので何と書いてあるのかと良く見てみたら、立派なローマ字で書かれた日本語の文章だった、ということがありました。あくまでデザインなのでいいのですが、実はローマ字というのは日本語が分かる人には読みにくいし、わからない人には意味がわからないしで、日本語を勉強し始めたくらいの人にしか役に立たない最悪のパターンですね。まあこの例はあくまでデザインなのでいいのですが。

で、こういうものは別にいいのですが、人に読ませるための意味のあるものにはちゃんとした言葉を使ってほしいというのが私の主張です。特に頻繁に目にしてがっかりしているのが、店舗の開店・閉店の表示です。「開店」が”open”だというのを間違える人はいないと思いますが、「閉店」のほうは私の感覚で8割以上の割合で間違って”close”となっています。

「え? 違うの?」と思った人にはこの機会に正しい英語を学んでいただきたいのですが、「開く」という意味の動詞”open”の対義は確かに”close”です。しかし、「開いている」という意味の形容詞”open”の対義語は”closed”なのです。格好つけて英語を使うなら、ちゃんと正しい英語を使って最後まで格好をつけてほしいものです。最近、とあるカフェの入口の表示を見たらもともと書かれていた”close”の後ろにペンで手書きで”d”と書き足してあって、お客さんに指摘されたか自分で気付いたかしたのだろうな、と微笑ましく思ったりもしました。

実は全く同じ間違いをビジネスの現場でも頻繁に目にしていて、私の勤務先でも課題リストの未完了・完了の意味でopen/closeと書く人がいます。というよりほぼすべての人が”close”と書いていて、私が全部”closed”に直してもまた勝手に元に戻されてしまったりするくらいです。みんな大学を出ていてもそれか、と日本の英語教育のダメさ加減を思い知らされる毎日です。

もう一つ酷い間違いがあるのが「モーニングルーティーン」というやつです。毎朝の身支度など定型的な作業を動画などで紹介するときに使われる言葉で、これは普通は間違えずに”morning routine”と綴っているのですが、”moaning routine“で検索してみると恥ずかしい動画や記事の投稿がたくさん出てきます。まあその内容は別に恥ずかしくないのですが、”moan”というのは「呻く」とか「喘ぐ」という意味ですからね…ああ恥ずかし。