Kensingtonどうしてみんな使わないの?

PCの入力装置といえばキーボードとマウス、というのが一般的だと思いますが、私はどうもマウスというのがまどろっこしくて嫌で使っていません。まあ自分のPCでなければ仕方がないので諦めて使いますが、自宅や職場の自分のPCにはトラックボールを購入して使っています。トラックボールの良いところは常に置き場所が固定されているので無意識に手を動かした位置にあり探る必要がないということと、移動させるスペースを必要としないためマウスパッドよりも狭い空間を占有するだけで済むということです。しかし残念なのは需要があまりないためどうしてもマウスよりも高価な製品になってしまうことが多いことで、そのためさらに需要がなくなるという悪循環になってしまっているようです。

私は最初にLogitechTrackman Marble FX(以下FX)という製品を意を決して購入して以来トラックボールの虜になってしまい、その後職場用に購入したKensingonTurboRingという製品で失敗してからExpert Mouseという製品を使い続けています。実はトラックボールにもいろいろあって使い勝手も様々なのですが、私の場合は一貫して直径50mm以上のボールを使用して複数の指で操作するタイプを愛用しています。

しかし、最初に購入したFXも購入から既に10年以上経過しているため、いろいろ動きが怪しくなってきました。機械的には特に問題なさそうなのですが、なぜか急に全くカーソルが動かなくなったり、条件もわからないので対処のしようがなかったりします。そういう時は仕方なくマウスを引っ張り出してきたりするのですが、そのたびにイライラすることになるので、ついにFXには引退してもらうことにしました。

ケンジントン SlimBlade Trackball 72327
メーカー:ケンジントン
ケンジントン (2009/04/10)
ISBN/ASIN:B0024AFD42

ということでFXに代わって活躍することになったのはやはりKensingtonのSlimBlade Trackballという製品です。この製品、発売されたのは1年以上前のことなのですが、その時デザインを見て「これは買う!」と即決した、久々に素晴らしいトラックボールが出たと感じたのですが、そのご購入まで間が開いたのにも訳があります。FXがまだ使えそうだったというのもその理由の一つではありますが、それ以上に大きな理由となっていたのはドライバです。というのも当初は64bit版OSに対応したドライバが公開されていなかっただけでなく、そのドライバにも機能的な問題があったのです。

このSlimBlade Trackballは薄型の筐体に直径55mmのボールを組み合わせ、そのボールの周囲に4つのボタンが配置したものとなっているのですが、当初のドライバではこれらのボタンの機能は固定されてしまっていました。手前側の2つのボタンが左右クリックに割り当てられているのはもちろん問題ないのですが、奥側の2つのボタンがそれぞれ、ボールの操作がスクロール関係の機能に変わるビューモードと、ボリューム調整やメディアプレイヤーの操作となるメディアモードというモード切り替えのボタンになってしまっていました。私にはどちらの機能も不要だったので「それなら要らない」と購入を踏みとどまってしまっていたのですが、やはりこれは不評だったようで今月に入ってボタンに任意の機能を割り当てられるTrackballWorksが64bit版OSにも対応してリリースされたので購入に踏み切りました。ただし、これはVer.1.01ということなので、実はもっと以前からVer.1.00が公開されていたのを知らなかっただけかもしれません。

私の設定では手前のボタンは左右クリック、左奥のボタンに中クリックというのは迷う余地もないのですが、右奥のボタンはいろいろ考えた挙句「デスクトップを表示」を割り当てることにしました。他の機能はともかく、中クリックというのはブラウザでリンクを別タブで開いたり、タブを閉じたりするときに使うので無いと不便なのです。

さて、SlimBlade Trackballの最大の特徴は何かというと、ボールをひねるように横に回転させることでスクロールホイールの動作ができる、ということです。今やマウスには当たり前に付いているスクロールホイールですが、トラックボールの場合にはなかなかうまい実装がなく、最大のウィークポイントとも言えるものでした。マウスのホイールと同じものをボールの横や奥に付けたり、ボールの周囲にリングを付けたりと工夫されてはきましたが、どれも決定的なものではありませんでした。しかし、このSlimBlade Trackballの「ボールをひねる」というのはシンプルで、想像するよりも違和感のない操作で、ひねりを感知したときに鳴るクリック音のおかげもあって使い勝手も悪くありません。慣れないとひねるときにカーソルのブレが気になるようですが、それほどシビアになる必要はないでしょう。

見た目としてもメタリックなボディに深い赤色のボールと、その周囲のクロームメッキとで高級感があり、価格相応のものとなっていて所有する上での満足感もあるのではないでしょうか。定価が15000円近いのでちょっと躊躇されるかもしれませんが、現時点Amazonでは10500円となっていますのでちょっとした高級マウスよりも安いですし、それに見合う価値は間違いなくあると言えます。