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Wonder

現実はさらに困難なのでしょうが。
👦🏼

学校での子供同士のいじめが社会問題となってから久しいと思いますが、それは何も日本だけの問題ではありません。私も子供たちを編入させるにあたって、アメリカの学校でいじめと差別に関するポリシーについてほとんど最初に説明を受けました。ただ、私はその時に日本人の子供たちがアメリカの学校でいじめる側に回るということを想像できなかったので、あまり真剣な態度では聞けなかったと思いますが、いじめの中心ではなくても知らず識らずのうちにでも加担してしまうということは想定すべきだったかも知れません。

さて、今回観たのはアメリカの学校での差別といじめの問題を題材とした2017年の映画「ワンダー 君は太陽」です。

本作はR. J. Palacioによる小説「ワンダー」を原作にしたものですが、あらすじとしては生まれつきの難病で顔面が変形してしまっており、27回の手術を繰り返してきたAugust “Auggie” Pullmanが10歳で初めて一般の学校へ進学し、一部からはいじめを受けつつも家族に支えられて少しずつ友人を増やしていく、というような特にひねりのない素直な話です。したがって面白いという映画ではありませんが、心のきれいな人は感動できるのではないでしょうか。

ただ、映画としてはちょっと凝ったところがあって、部分的に主人公を切り替えてその人の視点からの出来事として描いていて、その時その人がどう考えていたのかということを描写しています。これはあらゆる出来事には関わる人の数だけ見方があって、一見単純なようなことでも背景には様々なことが隠れている、ということに気づかせてもくれて良いのではないかと思いました。

なお本作の主演はAuggieの母親を演じたJulia Robertsということになっているようですが、これは俳優の序列の上でそうなっているだけで、物語の主人公はあくまでAuggieであり、彼を演じるJacob Tremblayの演技が光る作品となっているのではないでしょうか。また、他の子供たち、特にAuggieの親友となるJack Willを演じていたNoah Jupeの演技も非常に良かったのではないかと思います。

ということで、本作は実際に難病による障害を抱える人達からは「感動ポルノだ」というような批判もあるとのことで、確かに私も「感動するように作られた話」というように感じてしまいました。本当は障害とその困難な現実に対する理解を深めることもできるような内容になっていたら良かったのだろうと思いますが、本作ではきれいにまとめすぎたのかもしれません。

旅猫リポート (2018)

単に歳のせいで涙もろくなっただけでしょうか。
🐈

COVID-19の対応で私の勤務先が在宅勤務を指示するようになってから、ゴールデンウィークをまたいでちょうど1ヶ月ほどになりますが、私はその間毎日欠かさず10000歩以上の散歩というかウォーキングを続けています。それまで徒歩で通勤していて日々の歩数が10000歩程度だったので、そのペースを変えないよう、運動不足で体力とともに免疫力が低下しないよう、という思いなのですが、ある時ふと「この調子なら犬の散歩も苦ではないな」と思いつきました。といっても残念ながら自宅マンションではペットを買うことが禁じられてしまったので叶わないのですが。

というと犬派のようですが、私が子供の頃、東京都内にあった祖父母の家は野良猫が何匹も出入りしているようなところで、そこで慣れ親しんでいたので猫も嫌いではありません。ただ、あの気まぐれな感じが私にはちょっと合わないような気がして、飼うならもっと直接的に愛情を求めてくる犬のほうが良いかな、というくらいの感じです。

それはともかく、今回観たのはたまたまAmazon Prime Videoの「おすすめ映画」で出てきた「旅猫リポート」という作品なのですが、タイトルにも登場するくらい猫を大きく取り上げた作品ということでなんとなく軽い気持ちで観てみたところ、これまでで最高に私の目頭は熱くなってしまったのでした。

もともと野良猫だったナナが主人公である悟の飼い猫になるいきさつから始まるのですが、とある事情でナナの引取先を探すことになり、その過程で悟の少年時代の出来事や生い立ちや、ナナを手放さなければならなくなったというその事情が明らかになる、というような話になっています。

主役の悟を演じている福士蒼汰は別に好きなわけでもないのに主演作を何本も観てしまっているのですが、この人はまだ若いのに大人びているので、高校時代のシーンに無理があるのですよね。実際日本人が高校生だったときにも似合わなかったのかもしれませんが。高校で同級生だった千佳子の役で広瀬アリスも出ているのですが、この人も高校生にしては色気がありすぎて違和感が大きかったです。実は直前に広瀬アリス主演の「巫女っちゃけん。」を観ていたのですが、同年の作品なのにだいぶ雰囲気が違っていて驚きました。

また、ナナの声を高畑充希が演じていますが、本当に猫の独り言のように聞こえてなかなか良かったです。動物にセリフを言わせたりするとコメディ的になるか子供っぽくなるかしてしまいがちなものですが、この作品ではそうならずにしっかり泣かせるのは、高畑充希の台詞回しも一役買っているのではないでしょうか。

しかしこの作品が感動を与えるものになっているのは脚本の力が大きいのでしょう。本作は有川浩氏の同名の小説を原作にした作品となっていますが、この映画の脚本も有川氏が担当しており、原作で訴えたかったものがしっかりと表現されているということなのではないでしょうか。もちろん私はまだこの原作を読んでいませんが、ぜひ一度映画の記憶をなぞりながら読んでみたいと思っています。

Please Stand By (2017)

“Live long and prosper.”
🖖

日本で「スタートレック」というと好きな人はいるという程度の人気や知名度だと思いますが、本国アメリカでは「スター・ウォーズ」と並んで日本で言う「サザエさん」や「ドラえもん」と同じくらい人口に膾炙しているテレビ番組となっています。駐在中に私が対応していたアメリカ人のお客さんもトレッキー(大のスタートレックファン)だったのですが、会話の端々にスタートレック関連の小ネタを混ぜてくるので、なかなか日本人には通じないだろうなあと思いながら私はニヤリとしていたものです。なお、Wikipedia日本語版には「トレッキー」について

否定的なニュアンスが強く、揶揄する為に使われているので、ファン自身には嫌われている呼び方

と書かれていますが、現地アメリカでは私の感覚では決してそんなことはなく、かのお客さんも自称していたと思います。

ところで、今回観た「500ページの夢の束」という作品はスタートレックの熱心なファンで自閉症を持つためグループホームで暮らしている主人公のWendyが、パラマウントが主催するスタートレックの脚本コンテストに参加するために大作を書き上げ、提出するまでに巻き起こる出来事を描いたものです。

主人公Wendyを演じているのはDakota Fanningで、私の好きな女優の一人であるElle Fanningの実姉ですが、この二人が素晴らしいのは子役時代からの長く立派なキャリアを持つ、若手女優としてトップレベルの実力者でありながら、マイナーな作品にも数多く出演しているということです。先日観たElle主演の「ティーンスピリット」もそうでしたが、この作品もそうしたものの一つと言えるのではないかと思います。私の地元のシネコンでは特に洋画は大作に偏っているので、本作についても今回Amazon Prime Videoで見つけるまで存在すら知りませんでした。

自閉症という病気について私はほとんど知識がないためあまり語ることができませんが、人口1000人あたり1〜2人の人が持っているとされており、決して珍しい病気ではありません。しかしながら治療法は存在しないということで、社会として受け入れ共存していく必要があるのだと思います。この作品では自閉症を持つ人を主人公としていますが、作っている人、演じている人、そして観る人はおそらくみな健常者でしょうが、この病気に対する理解を広めるために一役買うことができているのでしょうか。

なお、途中でクリンゴン語で会話して緊張をほぐす場面がありますが、会話が交わせるほどクリンゴン語を会得している人がいるというのがちょっと信じがたいような気もしつつ、逆にアメリカなら稀にはいそうな気もしてしまいます。また、テレビや映画で使われるだけの架空の言語なのに会話ができるほど文法や語彙が完成しているというのもすごいことですが、Translator.euなど日本語からクリンゴン語にも翻訳できるウェブサイトも複数存在しています。一時期Google翻訳でも対応していたような気がするのですが、私の記憶違いでしょうか。なお、Translator.euで

日本語からクリンゴン語にも翻訳できるウェブサイトがあります。

を翻訳すると

laH mugh vo’ japanese tlhIngan ‘e’ website qar tu’lu’.

となりますが、存在しない言葉は英語になってしまうようですね。それでクリンゴン人に通じるとは思えませんが。

ということで面白くなかったわけではないものの、このまま映画自体にはまったく触れないまま終わろうと思いますが、原題の”Please stand by.”というのはスタートレックのセリフに度々登場する文句ですが、この言葉を繰り返し唱えることでWendyが落ち着きを取り戻そうとするというのもなかなか良いですね。グループホームで世話をしているScottieとの謎の符丁も良いですが、そもそもScottieといったらMontgomery Scottですよね。ただ、Worfが登場するのはTNGの時代で、James T. KirkSpockと一緒に登場するというのは…というどうでもいいところに引っ掛かってしまいましたが、映画の本筋とは全く関係ないところなので皆さんは気にしないでください。