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サマータイムマシン・ブルース

確かに気持ちいい。
🕰️

先日、早くもというか話題性が無くなってしまう前にということか、昨年日本の映画界に一大旋風を巻き起こした「カメラを止めるな!」が金曜ロードショー放映されました。私は放送を見ていないのですが、ぜひ妻にも観てもらいたいと思っていたもののBlu-rayを購入するタイミングを逃していたため、とりあえず録画はしてありますので私ももう一度楽しみたいと思っているところです。

この放送のだいぶ前に読んだ誰かのブログに掲載されていた本作の記事だったと思うのですが、伏線回収ものの代表作のように挙げられていたのが本広克行監督の「サマータイムマシン・ブルース」という2005年の作品でした。普段ほとんど邦画を観ない私なのと、当時はまだ私もあまり映画を観ていなかったということでこの作品については全く知らなかったので、是非観てみたいと思っていたところAmazon Prime Videoで観られるようになっていたため、先日ようやく時間ができたので観てみたのでした。

サマータイム・マシン・ブルース
(2014-09-24)
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もう10年以上前の作品なので今さらネタバレもなにもないかもしれませんが、「カメラを止めるな!」と同様に本作もあまり予備知識を持たずに観たほうが楽しめることは間違いないと思うので、私も多くは語らないことにします。ただ、タイトルからタイムマシンが登場するであろうことはわかりますので、タイムマシンということはタイムトラベルを題材にしたSF的作品であることは容易に想像できますし、まさにその通りのものです。

しかし、最初はなんだか訳のわからないドタバタコメディのようなものにしか見えず、そのまま観続けるべきなのかどうか、もしも事前に「伏線回収ものの傑作」であるということを知らなかったら迷っただろう、というよりおそらく迷わずに中断してしまっただろうと思います。しかし、その訳のわからなかったものが中盤以降に全てきれいに回収されていくので、その気持ちよさは体験すべきものだと言えます。

なお、「カメラを止めるな!」は当初上田監督が観た「GHOST IN THE BOX!」という舞台作品に着想を得たとしてこの舞台を「原案」としてクレジットしていて、これを不服とする劇団側と権利を巡って争った結果、「共同原作」としてクレジット表記することで合意に至ったという経緯がありますが、この作品ももともと舞台作品として作られたものを映画化したというものながら、あるべき手順を踏んで作られたというところに大きな違いはありそうです。とはいえ、ここから思うのは「実は舞台演劇も面白いのでは?」ということなのですが、残念ながら大都市圏に住んでいないと舞台を観に行くのはなかなか難しいですね。

Captain Marvel

最初はなんて名前かと思いましたが。
🦸

Marvel Comicsの多くの作品の原作を手がけ、現在の映画界におけるMarvelの存在感の最大の功労者であるStan Leeが亡くなったのは昨年11月のことです。彼は目立ちたがり屋だったそうで、多くの映画にカメオ出演していますが、地下鉄の乗客として出演した「キャプテン・マーベル」がその最後の作品となりました。日本では今週末公開となったこの作品を私も早速観てきましたが、冒頭のMarvelロゴがStanの生前の出演シーンで構成する特別版になっているなど、本作は彼に捧げるものとされています。

原作コミックとも設定が異なっているようなのですが、主人公Captain MarvelことVersの生い立ちというか、成り立ちは予想とは異なっていました。予告で描かれている範囲で言えば、ハラという星に住む、高度に発達した科学技術を持つクリー人の特殊部隊Star Forceの隊員であるVersは記憶を失っていて、いつも不思議な夢を見る、という妙に人間臭いキャラクターです。このVersがどうして地球に来ることになるのかがわからなかったのですが、作品を観てその謎が解けました。

Versを演じるBrie Larsonは戦士らしい演技を見せるために役作りとして9ヶ月にも及ぶトレーニングで筋肉を付け撮影に臨んだそうです。その甲斐あって作中ではキレのあるアクションを見せていますが、昨今はスタントダブルとデジタル技術で済ませてしまう場合が多い中、こうして本物にこだわる姿勢は非常に好感が持てるものです。

本作の舞台は1995年となっているため、BGMには90年代の音楽がたくさん使われていたり、Versが地球に来るときに落ちるのがかつて全米に存在したビデオレンタルチェーンBlockbusterだったり、Versが地球で着ているのが当時流行ったNine Inch NailsのロゴのTシャツだったりと小ネタが散りばめられていて、往年を知る私には楽しいところでした。しかし、ミシガンに住んでいる時に近所にあったBlockbusterはすでに潰れたあとの空き家でしたし、私の子どもたちには何とも感じられないのでしょう。

本作には後にS.H.I.E.L.D.の長官となるNick Furyやその右腕Phil Coulsonがその若かりし頃の姿を見せており、これはSamuel L. JacksonClark Greggが演じたものをデジタル処理によって若返らせたものだということですが、全く違和感はなく若々しさの感じられるものになっています。また、Furyがなぜ左目を失うことになったのかも本作を見ればわかりますが、それはコメントを避けておきます。

ということで、原作を読んでCaptain Marvelを知っていたという人はよほどのマニアでしょうから私が何か言うまでもないと思いますが、そうでないライトなアベンジャーズファンの人は次回作「エンドゲーム」に登場するCaptain Marvelを知っておくためにも観ておくべきでしょう。Google画像検索で見るとむっつりした表情の写真ばかりでどうなのかと思ってしまいましたが、本編では魅力的な笑顔も見ることができます。本作もできれば予備知識は持たないほうが楽しめるでしょう。

Spider-Man: Into the Spider-Verse

私はKirsten DunstのMJが好きなんですが。
🕷️

この3月は個人的に観たい映画ラッシュで大変なのですが、2019年のアカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞した「スパイダーマン: スパイダーバース」もそのうちの一つだったので早速観てきました。私はセリフも役者の演技の重要な部分だと思っているの基本的に洋画は字幕版で観ることにしているのですが、地元の映画館では本作は残念ながら日本語吹き替え版のみの公開となっていました。まあ本作はアニメだからもともと吹き替えというか声を当てているだけではあるのですが、オリジナルではHailee Steinfeld, Mahershala Ali, Nicolas Cage, Liev Shreiber, Chris Pineといったハリウッド俳優の錚々たる面々が揃っているので、せっかくなら彼らの声で観たいと思っていたのでした。しかし、実際に観始めてしまえばそんなことはそれほど気になることもなく、逆に字幕に気を散らされずに没入できたのではないかと思います。ただし、日本語吹き替え版では映像内の文字も一部日本語になってしまうのは残念なところです。

スパイダーマンといえばPeter Parkerですが、本作の主人公はMiles Moralesというアフリカ系アメリカ人の少年です。実際にはPeter Parkerも登場しているのですが、スパイダーマンに限らずMarvelの作品群にはいくつもの平行世界が存在して、そのうちの一つでスパイダーマンとして活躍しているのがMilesで、本作はまさにその平行世界をテーマに扱ったものとなっています。したがって、Peter B. ParkerとしてMary Jane “MJ” Watsonと結婚したスパイダーマンや、スパイダー・ウーマンとして正義のために戦うGwen Stacyなども登場して、なかなか賑やかです。

本作はアニメーションではありますが、リアルなCGをあえてトレースしてアニメらしくするというような手法が取られているらしく、背景や自動車などは非常にリアルに描かれている一方、アニメらしいキャラクターともとても良く馴染んでいます。また、人物の周りをゆっくり回り込むようなカメラワークも用いられていますが、これは手書きのアニメでは非常に手間がかかるはずのもので、CGならではということになるのではないでしょうか。そんなカメラワークや独特の色使いなどによって、本作は映像的に非常にカッコイイ作品になっています。

また音楽もヒップホップ系のカッコイイものになっていて、サントラ盤もしばらくヒットしていたようですが、それも含めて本作はハイティーンから20代以上の大人をターゲットにしているものと思われます。そして、実際に大人が観ても満足できる仕上がりの作品になっているのではないでしょうか。アニメと言えば子供のもの、という時代はもう終わったと思いますが、私自身も期待していた以上の満足感があり、さすがアカデミー賞を受賞しただけのことはあると思いました。

スパイダーマン:スパイダーバース (オリジナル・サウンドトラック)
Universal Records (2018-12-14)
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