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Batman Ninja

外国人には難しいような。

Marvel Cinematic Universeと呼ばれるMarvel Comics原作の実写映画化作品はすっかり映画の一つのジャンルを築き上げてしまったように見えますが、DC Comicsの方はSupermanやBatmanは古くから映画化されてヒットしていたにもかかわらず、その後の展開では遅れを取ってしまっているようです。だから奇策を取って、というわけではないでしょうが、「ニンジャバットマン」というアニメ映画が日本で製作されて公開されました。

「え? 忍者?」とだいぶゲテモノ臭が漂っていたこともあり、私は観るべきかどうかだいぶ迷ってしまったのですが、「スーサイド・スクワッド」で見てずっと以来iPhoneの壁紙にしているほど好きになったHarley Quinnも活躍(?)するようなので、仕事の後に観に行ってみることにしました。

本作はBatmanが主役でメインの敵はJokerと付き従うHarley Quinn、その他Cat WomanやPenguin、Two Faceなど諸々のキャラクターが登場するという、それだけ見ればオーソドックスなバットマンシリーズなのですが、ただ舞台が中世日本、戦国時代というところが特徴です。もちろんバットマンが戦国時代の日本に現れるという時点で荒唐無稽な話なのですが、その先にはそれどころでないバカバカしい話が繰り広げられ、ダークナイト三部作や「ジャスティス・リーグ」のシリアス路線とは全く別物と考えなければいけません。まあ、スーパーヒーロものという時点でまったく非現実的ではあるのですが。

しかし、ストーリーや設定はともかく、映像としてはとても面白いものでした。BatmanとJokerの直接対決シーンはかなりスピード感があって見応えがありましたし、Batmanが状況を分析する説明的な場面では多彩な演出が使われて、退屈させられるようなこともありませんでした。やはりアニメの映像表現については日本の技術は今でも世界をリードしているのでしょうか。

なお、本作は日本では劇場公開となっていますが、アメリカではネット配信とBlu-ray/DVDの販売のみとなっているようです。さすがにテーマ的に日本以外の国では無理があるので仕方ないでしょう。日本で常識的に知られているような戦国武将の名前を知らないと、どういう意味なのかわからないようなところも多々あるはずです。せっかくDC Comicsを元にしているのにこうして市場を限定してしまったというのは大変もったいないことのように思えますが、まあ仕方ないでしょう。

Sing

洋楽好きの大人も。

Sofia Coppola監督の映画「ロスト・イン・トランスレーション」を観てからか、Scarlett Johanssonが出演しているとどうも気になってしまうのですが、先週公開された「ゴースト・イン・ザ・シェル」は白人のScarlettが日本人の役を演じているのが差別的だということで批判されているようです。日本人にしてみればそんなことはまったくなんとも感じないところではないかと思いますが、そのせいで興行的に失敗に終わってしまうのはとても残念なことです。私は予告を見たときからとても観たかったのですが、なぜか地元の映画館では吹き替え版のみの上映というわけのわからないことをしてくれているのでレンタルで観ればいいやという気になってしまいました。

その代わりというわけではありませんが、昨日観てきたのはScarlettがヤマアラシの少女Ashの声で出演しているアニメ作品「SING」です。もちろん、Scarlettの声を聞かなければ意味がない…というのもありますが、この作品では数々の新旧ヒット曲が歌われ、私はそれを楽しみに観るので字幕版です。この作品については映画館も頑張っていて、レイトショーのアニメ映画字幕版なので大した人数が入らないのがわかりきっているのに大きなスクリーンに割り当てられていてどういうことかと思ってしまいましたが、そのスクリーンはいい音響設備が入っているのでした。わかってるじゃないですか。

どんなストーリーの映画かといえば、賞金1000ドルのはずが10万ドルと印刷されてしまったチラシのせいで大盛況となってしまった歌のコンテストと、その出演者が巻き起こす様々なトラブルのドタバタコメディとでも言えばいいでしょうか。まあ大人が観て感動するような話ではないので、見どころはやはりコンテスト出場者の歌ではないでしょうか。

日本語吹き替え版でもMISIA、スキマスイッチの大橋卓弥、河口恭吾といった本職の歌手が参加していますが、一方で長澤まさみや山寺宏一といった人たちも歌を披露しているようで、大丈夫なのかと余計な心配をしてしまいます。まあ私が観ることはないのでまさに余計なことなのですが。

また、レッサーパンダの少女5人組のThe Q-Teezがきゃりーぱみゅぱみゅの歌を歌う日本人グループで、セリフも変な日本語でしたが、こういうところは吹き替え版ではどう処理されているのか、ちょっと気になるところです。なお、The Q-Teezはキャストが公開されておらず不明なようです。

ということでいくつか良い歌があったのでサウンドトラックも欲しくなってしまいました。特にElton JohnのI’m Still StandingをゴリラのJohnnyが歌うシーンがとても良かったです。帰宅してからElton Johnの元歌も聴いてみたところ、これもやはり名曲なのですが、Taron Egertonが歌うJohnny版のホーンが入った豪華で今風のアレンジと比べるとちょっと物足りないというか、だいぶシンプルな感じでした。ちなみに、サントラにきゃりーの曲は入っていません。

君の名は。

色々無理はあるような気がしますが、それはそれで。

今年の夏休みの終わり頃である8月26日に公開されたアニメ映画「君の名は。」が大ヒットしていて、1か月経たないうちに興行収入が100億円を超えたということがニュースになりました。私の周辺では大ヒットしたように見えた「シン・ゴジラ」でも10月11日現在で77億円で歴代66位なのに対し、すでに歴代11位の145億円となっているのですからいかに幅広い支持を得ているということかと思います。ちなみに、この日本国内のランキングで歴代1位となっているのは「千と千尋の神隠し」で、このランキングの中でもつい先日観た「タイタニック」が2位につけていますが、7位に「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」が入っていて、この作品がここまでヒットしたとは知りませんでした。このシリーズにはまったく関心がなかったのですが、観ておかなければいけないかもしれないと思ってしまいました。

それはさておき、これだけ話題になっていると普段洋画ばかり観ている私でも気になってしまいます。幸い、Amazonでこの映画の小説版である「小説 君の名は。」のKindle版が安くなっていたので買って読んでみると思いの外面白くて、その後で本作のサイドストーリーである「君の名は。 Another Side: Earthbound」というのも読んでみてすっかりこの作品の世界に浸かってしまいました。となるともう映画も観ないでいるわけにいかず、ちょうど今週定期テストが終わったばかりの次男を誘うと1も2もなく二つ返事で行くというので、昨晩のレイトショーで観に行ってきました。

小説 君の名は。 (角川文庫)

(2016-10-16現在)

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)

(2016-10-16現在)

映画の内容はほぼ完全に小説版と同じなので私はストーリーを把握している状態で観たことになりますが、それでもとても楽しむことができました。文章を読みながら自分が頭の中に描いた光景が、映像により補完されて整理されていくというプロセスはなかなか気持ちのいいものだと思うので、展開を知らないまま映画を観て新鮮な驚きを得るというのももちろん楽しいものですが、それは小説を読むときに体験できているのでこれはこれで私は好きです。

上映直後の次男の反応はというと、これまでに観た映画の中で2番目に感動した、何度も観る人の気持ちがわかる、何度繰り返しても楽しめそうだ、とのことでした。もちろんこの「2番目」というのが気になったので1番目は何なのかと聞いてみると、「HACHI 約束の犬」だとのことで、渡米間もないころに英会話の先生に英語で映画を観てみろと言われて観たところ、何かが彼の琴線に触れたようです。ともあれ、せっかく連れて行ったからには大変楽しんでもらえて嬉しいですね。

しかし、これだけ多くの人に受け入れられている作品をブログなどで公然と批判する人もいます。もちろん面白いと感じるかどうかは個人により違いますし、それを表現するのも自由です。しかし、文章の端々から「自分はこの程度で楽しめる凡人とは違う」という無意味な優越感が垣間見えてしまう人もいて、そういう人には自分には面白さを見つけることができなかったと恥じてもらってもいいのではないかと思ってしまいます。「展開が都合良すぎる」というのは私も感じないでもありませんが、そういうことにしておけばいいと思いますし、「説明されていないしわかるわけがない」というのはすべて説明されなければわからない想像力の不足、というより想像することを楽しむことができないのが哀れにも思えてしまいます。まあいいんですけどね、自由ですから。

実は色々とツメの甘いところは私も気になりはしましたが、そんな完璧な映画ばかりではありません。特にSF的な要素があると現実とは違うのでどこかしら破綻してしまうものですが、それらを許容しながら楽しむという寛容さを持てるかどうかが作品を楽しめるかどうかの違いなのではないでしょうか。せっかくお金を出して映画を観るのですから、つまらなかったと思うより面白かったと感じられる方がお得ですよね。