ヒロインが可愛かったからでもあるんですけどね。
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先月から個人的に空前のアニメブームがやってきていることは前回書きましたが、現在も引き続きアニメ作品をAmazon Prime Videoで観まくっています。「あなたが興味のありそうな映画」と「あなたが興味のありそうなTV番組」をたどっていくと今まで知らなかった作品が次々出てくるので、その中から実際に興味を惹かれるようなものをちょっと観てみて、面白そうだったらそのまま続けて観る、という感じです。そうやってつまみ食いするというのは以前のレンタルビデオなどではできなかったことで、素晴らしい世の中になったものです。

そうやっていて見つけて、かなり気に入ってしまったのが2018年に放送されていたらしい「BEATLESS」です。この作品は月間Newtype誌に連載されていた長谷敏司のSF小説を原作にアニメ化したものですが、深夜2時頃に放送されていたようなので私には知る由もなかったというところです。今はこの手のアニメ作品はだいたいそんな時間帯に放映されているものなのでしょうか。

舞台となっているのは100年後の未来、22世紀始めの日本で、hIE (Humanoid Interface Elements)と呼ばれるアンドロイドが人間社会に溶け込んで生活を助ける役割を果たしている世界です。2051年に技術的特異点(シンギュラリティ)を迎えており、人々は人類の英知を超えた「超高度AI」の助けを借りて生活している、という設定になっています。主人公の高校生、遠藤アラトはたまたま深夜に買い物に出た帰りに事件に巻き込まれ、そこで美人のhIE「レイシア」に助けられ、そのレイシアに求められてオーナーとなったことでアラトの人生は大きく変わることになるのでした。

このような人間を超えた人工知能が実現したとして、果たしてそれを信じることが出来るのか、というのは非常に難しいところです。人工知能も何らかの枷をはめることは可能なのかもしれませんが、人間の思考を超えたとなると、本当に何を考えているのかということは人間に理解できるものではない、ということになるのではないでしょうか。しかし、hIEに「信じてください」と言われてしまったとき、人はどうするべきでしょうか。それがこの作品のテーマです。

一つのキーワードは「アナログハック」というものです。

アナログハックとは、「人間のかたちをしたもの」に人間がさまざまな感情を持ってしまう性質を利用して、人間の意識に直接ハッキング(解析・改変)を仕掛けることです。

ということで、「アナログ」という単語を使うのはどうなのかと思うものの、この作品に度々登場しており、実際に問題になるだろうなあと思われることです。アナログハックによって信じさせられてしまうなら、人はどうやって抗うことが出来るでしょうか。なお、このようなこの作品の設定と世界観は「アナログハック・オープンリソース」というサイトで開放されており、自由に創作に利用できるとのことです。

私はアニメがとても気に入ったので原作の小説も読んでみたのですが、アニメがかなり原作に忠実に作られたものであるということがわかりました。ただ、原作にある哲学的な思考について映像では表現しきれないのは仕方のないところでしょう。また、文章で読んでいると自分の頭の中で勝手なイメージを描いてしまうというのはアニメを見たあとでもあるようで、小説を読んだあとでもう一度アニメを見返してみると「こんなだったかな」という感じになってしまいました。ということは、両方押さえるつもりの人は、小説を読む前にアニメを見ておいたほうがいいということかもしれません。

また、アニメでちょっと気になったのは、100年後にしてはhIEが一般的になっている以外に人々の生活はあまり進化していないな、ということです。道路を走っている車は基本的に自動運転になってはいるのですが、あくまで現代の自動車と同じ形をしていて、もっと言えばプリウスそっくりです。しかも屋根の上には自動運転用のセンサーのようなものが付いていて、それは100年後どころか5年10年の間に最初に自動運転が実用化されたときでもありえないのではないかと、気になって仕方がありません。これは私がそれに近い仕事をしているせいかもしれませんが、他にもスマートフォン的な携帯端末とかテレビとか、hIE以外はちょっと想像力が足りないのか、未来を描けていないようで残念です。20年後とかならともかく、100年後ですからね。

そのあたりのこともあるので、というわけではありませんが、ストーリーとしては私はかなり気に入ったので、劇場版なんていうものが作られたら本当に夢のようです。その時は映画館で何度も観るでしょうし、BDなどもきっと買うでしょう。しかし、アニメシリーズのBlu-ray BOXも売られているのですが、18000円×4というのはちょっと高すぎて、さすがに手が出ません。