連載が始まったのがもう10年も前で、昨年にはアニメ化もされているのですでに広く知られているのではないかと思いますが、マンガ「ダンジョン飯」の単行本を勤務先の後輩、というか若い子に貸してもらって最後まで読んだのですが、やはりとても面白い作品でした。なお、アニメについては1年半ほど前の放送開始時点で書いていました。

ダンジョンの奥でドラゴンに食べられてしまった妹を助けに行こうとする主人公ライオスたちが、食料を購入する資金がないのでダンジョン内の魔物を料理して食べながら進んでいく、という話で、そのファンタジーな冒険とグルメ要素を融合させたユニークな作品です。魔物料理の調理方法を細かく説明しているので妙なリアリティがあるのが特に面白いところです。

私は先行してアニメの方を見てしまっていたのですが、14巻で完結している原作のうち、現時点でアニメでは8巻までの部分が放映されています。そのアニメ化済みの部分に関してはだいたい上記のとおりなのですが、じつはちょうどそのあたりから作品のトーンがガラッと変わっていて、だいぶシリアスな内容になってきます。その分グルメ要素はなくなってしまうのですが、それはそれで独特なファンタジーの世界を楽しむことはできます。

物語の舞台はほとんどダンジョンの中で、その外側の世界についてはよくわからないままの部分が多いのですが、その限られた世界の中でトールマン(人間)、ハーフエルフ、ハーフフット(小人)、ドワーフ、獣人という異なる人種のチームがぶつかり合いながらも協力し合い、目的を果たすという冒険は、なかなか読み応えのあるものでした。ダンジョン自体もありがちな洞窟だったり自然が広がるだけのものとは違い、独特な世界観があってとても魅力的です。

グルメの部分にだけ期待して読み始めるという人はまずいないとは思いますが、中盤以後の変化は人によって好き嫌いがあるかもしれません。私は面白かったと思う一方で、当初ののんびりした感じも良かったな、という少々複雑な思いもあります。ただいずれにしても、このまま無駄に引き延ばされることなく、綺麗に終わったのは良かったのではないでしょうか。