クールジャパン」というセンスのない名前はどうも冷めた目で見てしまうのですが、日本の魅力を世界へ発信していこうという取り組み自体はなかなかうまく行っているようで、近年たくさんの外国人観光客が日本を訪れているのは円安だけが原因ではないはずです。その「日本の魅力」の中心的なものの一つがアニメですが、海外での日本アニメの人気は日本人の想像以上のものがありますし、私が先日台湾へ行ったときにもその一端は垣間見えました。

何しろ今季、2024年の冬アニメでも60本以上の作品が放送されることになっており、これだけの作品が高いクオリティを保ちつつ並行して制作されているということで、日本のアニメ産業の層の厚さには唸らされます。とはいえ、これらがすべて日本国内で制作されているというわけではなく、韓国や中国のスタジオに外注されている作品も少なくありませんし、国内でも外国人スタッフが携わっているということも珍しくないので、日本だけではなくアジア諸国へもアニメ文化が広がっているということも間違いないと思います。

さて、その今季のアニメは今週から順次スタートしているわけですが、その中で1月4日に放送開始された「ダンジョン飯」が良かったのでご紹介したいと思います。

本作は九井諒子氏が漫画誌ハルタで連載していた同名漫画作品を原作としたもので、この原作は私も単行本を同僚に借りて一度読んだことがありました。その時もユニークな内容でとても面白いと思っていたのですが、それがアニメ化されるということで楽しみにしていたものです。なお、原作の第1話はカドコミで無料で読めるようになっているようで、これはちょうど初回のアニメで放送されたエピソードとなっています。

物語の舞台は古典的な剣と魔法のファンタジーの世界で、エルフやドワーフも主要人物として登場します。ただ、ユニークなのは冒険そのものやモンスターとの戦闘などは重要ではなく、ダンジョン内に生息するモンスターを調理して食べる「魔物食」を中心に描かれているというところです。魔物食自体はこの世界でも一般的なものではないのですが、その調理方法などが具体的にまことしやかに語られていて、特にアニメでは色鮮やかに描かれていることで、なぜか美味しそうにさえ感じられてしまいます。他のなろう作品などでも野生のモンスターを狩って調理するということは珍しいことではありませんが、本作ほど細かく描写されることはなく、ましてやそれを中心に語られている作品というのは多くないと思います。

無論それだけではなく、物語のテンポの良さやコミカルなやり取りなども本作の魅力なので、今季は「葬送のフリーレン」と並んで本作も毎週の公開を楽しみにしていきたいと思います。