日本のTVアニメは3か月区切りで放送されるのが通例となっているようですが、2023年10月から12月の秋アニメも数多く放送され、期待されていた作品も多数あったかと思います。その中でもいくつかの作品が特筆されるべきものでしたが、私が一番推していたのが「葬送のフリーレン」です。これまでに見た中でも最高レベルで気に入っています。

最初の4話分を金曜ロードショーの2時間枠で放送したというのも史上初ということで話題になりましたが、2クール連続で3月まで放送されるとのことで、年内分はこの週末に放送されて終わりましたが、また年明けから続きの「一級魔法使い試験編」が見られるということで楽しみにしています。

この作品は週刊少年サンデーに連載されている同名の漫画作品を原作にアニメ化したものです。私は原作が無料で読めるようになっていたときに一部を読んだだけですが、一部シーンの追加削除はあるものの、だいぶ原作に忠実にアニメ化されているのではないかと思います。魔王を倒した勇者パーティの魔法使いであるエルフのフリーレンが、勇者ヒンメルの死後に人を知るたびに出る、という終わりから始まる物語というのが一風変わっています。

アニメが始まったときには、金曜ロードショーということで見た人が多かったのか、前提知識が必要ということで批判の対象になったりもしていました。勇者とは、魔王を倒すとは、エルフとは、僧侶とは、あの髭面は、という具合に知っている人は普通にわかる「お約束」がまったく説明されないのがとっつきにくかったのでしょう。しかし、放送が進むに連れそういう声は聞かれなくなり、絶賛の声に代わったような気がするのは私の観測範囲が偏っているだけでしょうか。

この作品の好きなところは、しっとりと非常に落ち着いているところです。もちろん盛り上がる場面はありますが、それでも全体的に淡々としていて、乾いたユーモアがあり、じっくり感じさせること・考えさせることもあり、とても少年誌に連載されているとは思えないほど大人向けの作品なのではないかと感じています。

第1クールのオープニングテーマ曲が今年を代表するアーティストの一組、YOASOBIの「勇者」だったということもあり、制作にはお金が掛けられているのではないかと思いますが、だいぶ前にアフレコも終わっているようですし、制作が追いつかないというような心配もなさそうなので、残り半分も落ち着いて楽しみたいと思います。