台湾ではかつて「日本統治時代の名残でお年寄りを中心に日本語がわかる人がいるから日本語でもなんとかなる」と言われてきましたが、さすがに終戦後80年となると当時の日本語教育を受けた方々の多くが高齢となり、今では通じにくくなってきました。逆に今は若い人たちで日本語を勉強したという人も少なくなく、思わぬところで日本語が通じたりしますが、そうでない場合は英語でなんとかするしかありません。

しかしその英語が通じるのも観光客が多い台北での話で、先日台中に行った時には思った以上に、ひょっとすると日本語以上に英語が通じず、身振り手振りで買い物をしなければならない場面もありました。そんなこともあって、帰国後に台湾の公用語である台湾華語を勉強してみようと真剣に思うようになりました。

以前も、最初に台湾へ行って帰ってきてから中国語を勉強しようと思ったことはあって、Duolingo中国語のコースを始めてみたりもしたのですが、台湾では日本の旧字体に近い繁体字が使われているのに対し、Duolingoには大陸中国で使われている簡体字のコースしか用意されていないのです。簡体字では字形が省略されすぎていて元の字がまったくわからず、同じ漢字を使っているから文字を見ればなんとなく意味がわかるという日本人のメリットが活かせないため、どうもやる気が出ず途中で辞めてしまいました。

そこで今度はちゃんとした書籍で勉強しよう、ということで「基礎から学ぶ 実用台湾華語 初級」という昨年出たばかりの本を見つけて購入しました。

国立台湾師範大学国語教学センターの教科書である当代中文課程の日本語版として発行されたものということで、台湾華語を学ぶための正統と考えていいのではないかと思ったのですが、私も始めたばかりなのでこれが良い教科書なのかどうかはよく分かりません。

なお、語学を学ぶ上では発音も欠かせない要素ですが、台湾では発音記号として主に注音符号という独特の記号が使われるのに対し、本書では外国人には馴染みやすいアルファベットで表記する拼音(ピンイン)が主に使われています。これについて批判的なレビューもありましたが、私は拼音の方がまだ馴染みがあるので助かります。また、実際の発音はWebサイトからまとめてダウンロードできるようになっていますし、本書の各節に掲載されているQRコードからも聞けるようになっています。

ということで、今のところはこれが三日坊主に終わってしまわないことを祈るばかり…というと他力本願というか他人事のようですが、次回訪台時までにはある程度、夜市の屋台で注文に困らない程度に会話ができるようになりたいと思っています。