ボッティチェリ「地獄の見取り図」月曜の朝でも結構観客がいて意外。

宗教象徴学を専門とするハーバード大教授Robert Langdonを主人公とするシリーズの映画化作品、「ダ・ヴィンチ・コード」、「天使と悪魔」に続く三作目「インフェルノ」が先週末公開されました。最初の「ダ・ヴィンチ・コード」は今からちょうど10年前の2006年、それに続く「天使と悪魔」は2009年の作品でしたが、そこからしばらく間が空いてしまったのでもうシリーズは終わってしまったのかと思っていました。しかし、原作の方では三作目「ロスト・シンボル」が2009年には出版されていて、今回映画化された「インフェルノ」はその後2013年に出版されています。どうやら「ロスト・シンボル」の映画化も企画されていたようなのですが製作が難航し、その間に「インフェルノ」が先行してしまったということのようです。「ロスト・シンボル」はフリーメイソンを題材にしているようなので圧力がかかったのではないかと陰謀論好きは思うかもしれませんが、もともと原作では「天使と悪魔」が最初で二作目が「ダ・ヴィンチ・コード」なので、再び逆転したとしても大した問題ではありません。

ということで、海外出張から昨日日曜日に帰ってきたところなので代休をもらった今日、さっそく観に行ってきました。毎回高い教養を要求する謎解きで楽しませてくれる本シリーズですが、今作での主題となっているのは「ダンテ」です。といってもダンテといえば「神曲」というところまでが私の知っていることで、それ以上の知識は全くと言っていいほどありませんが、この作品を楽しむ上では問題ありませんでした。もちろん、ダンテとその作品などに関する専門的な知識があれば、さらに違う面白さも見出すことができるのではないでしょうか。

今回も主役のLangdon教授を演じるのはもちろんTom Hanksです。つい先日「ハドソン川の奇跡」のSullenberger機長役で観たところですが、やはりこちらは彼にとっての決まり役の一つかもしれません。また、今回の謎解きの相棒となるのはFelicity Jones演じるDr. Sienna Brooksです。私は時折見せる影のある表情というのが好きなようなのですが、Felicityも時々そんな顔を見せることがあってたまりません。また、映画には出てきませんが原作ではIQ=208という設定なので、 Siennaを演じるには聡明さを感じさせなければなりませんが、その点でも問題なかったのではないでしょうか。ちなみに、Siennaというのは珍しいファーストネームだなあと思いましたが、Sienna Millerという女優もいましたね。

さすがにTom Hanksも今年還暦ということでいい年なので、かどうかはわかりませんが、今作ではアクションの要素は減っていて、代わりにミステリー要素が強くなっているような印象です。なぜだかわからないけれどLangdonが病院で点滴を受けている、という冒頭からしてこれまでの穏当な始まり方とは違います。謎解きそのものはそれほど凝ったものではありませんでしたが、かと言って私にも予測できるような単純なものではなく、とても楽しむことができました。

ちなみに、実は原作を先に購入していて、映画を観る前に読んでおこうと思っていたのですが、そもそも読み始めるのが間に合いませんでした。しかしどちらが先でもそれぞれ楽しめると思うので、これからゆっくり読んでいきたいと思います。

インフェルノ(角川文庫 上中下合本版)