もっと早く観ればよかった。
私は自分でも嫌になるくらい怖がりというか、驚かされるのが嫌いで、血を見るのも苦手で、ホラー映画など以ての外ですが、そうでない普通の映画でもこの先痛い目に遭いそうというシーンではついつい再生を停めてしまったりします。映画館で観ているときにはそういう事もできませんし、目を背けるというのはもったいないような気になるため頑張って観るので、そういう意味でも映画館で観る価値があったりします。
今回観た「エクス・マキナ」は日本での公開が決まる前から面白いらしいと聞いて観たいと思っていたので、日本での公開前のアメリカ出張の際にBlu-rayで購入していたのですが、ちょっと観始めたところで怖くなって停めてしまっていたのでした。しかし、たまたま今朝聞いていたポッドキャストRebuildのエピソード147で話題に出てきて、やはり観たほうがいいかなという気になって意を決してみてみたら、実は特に怖くはなかったのでした。まあ、おどろおどろしい音楽で雰囲気を盛り上げているシーンはありましたし、流血もあるのでまったくなんともないということはなかったのですが、観てしまえばどうということはなかったという感じです。
内容は、ネット検索の世界シェア90%以上を握るBlue Bookなる企業でプログラマとして働くCaleb Smithが、社内の抽選で当選して創業社長Nathan Batemanの自宅で一週間滞在することになります。しかしそこでCalebはNDAへのサインを求められたのち、Nathanが極秘で開発した人工知能に対するチューリングテストを任せられることになるのですが…というようなものです。
この作品の主な登場人物は4人しかいないのですが、Calebを演じているのはDomhnall Gleesonというアイルランド人俳優で、どこかで見たと思ったらスター・ウォーズ新三部作のGeneral Huxでした。そしてNathanを演じているのはOscar Isaacで、こちらも言うまでもなく同三部作のPoe Dameronということで、あちらでは敵対する二人だったというわけです。
もう二人の出演者は本作が出世作となったAlicia Vikanderで、この後に出演したどの作品でも素敵でしたが、本作でもとても魅力的です。またもう一人はそれなりに存在感はあるものの設定上まったく喋らないのですが、本作が映画デビュー作だった日系イギリス人のSonoya Mizunoです。Sonoyaはこのあと「ラ・ラ・ランド」でMiaの同居人役で出ていたり、このあと「ゲーム・オブ・スローンズ」の前日譚に出演することにもなっているようです。
この4人の出演者で落ち着いた雰囲気で進行していくストーリーがハリウッド物とは違っていて、ヨーロッパの作品らしくてなかなか良いです。物語の方はここまで高度なAIが実際に開発されたとしたら、こういう結末も予想しなければならないのだろうな、というような空恐ろしさを感じるものです。
なお、スタジオの他に撮影が行われたのはノルウェイのJuvet Landscape Hotelという非常にオシャレなホテルで、ここをNathanの邸宅として利用しています。見事な自然に囲まれて、大きな窓やテラスからそれを感じながらゆっくりと過ごせたらどんなに素晴らしいでしょうか。相当に贅沢な時間を過ごすことができそうですが、一生の間に行くのも難しそうですね。