映画館へ行くのもだいぶ久しぶりになってしまいましたが、聴いているいくつかのポッドキャストで紹介されていて気になった「哀れなるものたち」という作品を観てきました。Yorgos Lanthimos監督の作品でEmma Stone主演ですが、Emmaが「ラ・ラ・ランド」に次いで二度目のアカデミー賞を受賞するのではないかと言われているとのことで、期待を膨らませて観たのですが、なかなか凄い作品でした。

Wikipediaでは「シュール的なSFラブコメ映画」とされていますが、いわゆるラブコメとはかなり違っていて、スチームパンク風で19世紀ヨーロッパ風の世界観のファンタジーですが、私がジャンルを決めるとすればホラー映画です。いろいろなことを考えされられる作品ですが、私は結構恐ろしく感じました。

Emma演じるBella BaxterはWillem Dafoe演じる「天才外科医」のGodことDr. Godwin Baxterに胎児の脳を移植されたために、大人の身体に乳幼児の頭脳というアンバランスな女性なのですが、彼女が周囲の大人に振り回されつつも急速に成長していくさまを描いているのがこの作品です。Willem Dafoeといえばいかにもな悪役面ですが、本作ではなかなかのメイクアップが施されています。このGod以外の登場人物もみな狂気じみていて、まともな人は誰ひとりいないのではないかというところがやっぱり私にはホラーでした。

しかし映像は非常に美しくオシャレなもので、スチームパンク的な造形もとても興味深いものです。シーンの切り替わり時に入るカットなども美しいですし、エンドクレジットまでとても凝った作りになっています。ただ、私の目が良くないせいもありますが、スタッフの名前などは全然読み取ることができませんでした。でもどうせ誰も読まないのだからこれでいいのかもしれません。

なお本作はR18+というレーティングになっているのですが、性行為がかなり直接的に描写されていて、しかもだいぶ頻繁に登場します。しかし、「Emma Stoneのセックスシーン」だというのに劣情を刺激されるようなものではなく、非常に生々しく、人間の営みとしてグロテスクに描かれており、私も興奮するようなことは一切ありませんでした。