今年のアカデミー賞で作品賞をはじめとする最多の7部門で受賞した映画「オッペンハイマー」の日本での公開が先週末にようやく始まりました。当初は私の地元のシネコンでは上映予定になっていなかったのですが、アカデミー賞の成績を見てか幸い上映されるようになったので、サービスデイで1300円で観られる水曜日の今日、一人で観てきました。なお、水曜サービスデイはもともとレディースデイで女性だけ安くなっていたのが、昨今の情勢で改められたものです。

さて、この作品は上映時間180分という大作ですが、それを感じさせずのめり込んでしまいました。原爆の父と言われるJ. Robert Oppenheimerロスアラモス国立研究所マンハッタン計画を推し進める流れと、戦後ソ連への機密漏洩を追及される流れとが交錯しながら描かれるもので、特別興奮するような場面はほとんどないのにそれだけ集中させられてしまうのは不思議なものです。

Christopher Nolanが製作費1億円を掛けたということでも期待していた作品ですが、やはり見事というほかありません。キャストも豪華で主演のCillian Murphyは写真で見たOppenheimer本人かという感じですし、Robert Downey Jr.など憎たらしい限りで、さすがアカデミー賞の主演・助演男優賞を取っただけのことはあります。

また本作は音楽も素晴らしかったです。これも音楽賞の受賞も頷けるものですが、特にテーマ曲の”Can You Hear The Music”という曲自体もいい曲ですし、その使い所も素晴らしいと思いました。

本作の日本での公開前には広島と長崎で試写会が行われたということですが、やはりそういう配慮はどうしても必要だったのだろうと思います。当時Oppenheimer自身には選択肢はなかったでしょうし、投下後には苦悩する姿が描かれる作品でもあるので、本作を観たあとで批判的な声を上げる人もほとんどいなかったのではないでしょうか。私自身も成功を聞いて歓声を上げる人々の姿には複雑な思いは浮かびましたが、仕方ないことではあったのだろうと思っています。