ひねりはないけれどいい話。
今月の映画の日、3月1日は金曜日で仕事帰りに観に行くことができてとても嬉しいのですが、直前に発表された2019年米国アカデミー賞で作品賞と助演男優賞、脚本賞の3部門を受賞した「グリーンブック」の公開日でもあり、この作品はもともと観たかったということもあり、迷うことなく予約を入れて観てきました。さすがにアカデミー賞の効果もあって、いつもは映画の日でもガラガラの金曜日もなかなかの賑わいでした。
この作品は、ニューヨークのナイトクラブCopacabanaで働いていたイタリア移民のTony Lipと、アメリカの黒人ピアニストDon Shirleyという実在した2人の人物の間に、アメリカ南東部、ディープサウスを巡るツアーを通じて人種を越えた友情が築かれる過程を描いた物語となっています。舞台となっている1962年当時のアメリカはまだ黒人差別も根強く、Tony自身も当初は差別主義者であり、またディープサウスはとくに差別の厳しかったところで、数々の差別的出来事が起こりますが、それらを通じてTonyの考え方も変化していくというわけです。
主演は「ロード・オブ・ザ・リング」のAragornを演じていたViggo MortensenがTonyを演じ、Mahershala Aliが演じるDonは助演ということになっているようです。Viggoはこの映画で大食漢のTonyを演じるために体重を20kg程も増やしたとのことで、立派な太鼓腹を見せています。一方でMahershalaはこの役で「ムーンライト (映画)」に続いて2度目のアカデミー助演男優賞を受賞しているわけですが、つい先日観た「アリータ: バトル・エンジェル」でも重要な役どころを演じており、今が旬の俳優ということになるのでしょうか。
タイトルとなっている「グリーンブック」は当時のアメリカで黒人が宿泊できるホテル、食事できるレストランなどを紹介したガイドブックのことで、創刊したVictor Hugo Greenの名前に因んでいますが、それに合わせて表紙が緑色になっているのはシャレでしょう。しかし、こういうものの存在自体が現代では考えられないことですし、アメリカにとっては恥ずべきことですね。かといって日本は問題ないのかというとそんな事は言えず、むしろ表立っていないだけに質が悪いのではないでしょうか。