Daniel Craig (Casino Royale)MI6といえばイギリス情報局秘密情報部、つまりイギリスの情報機関であり秘密めいた組織だったはずなのですが、最近はウェブサイトで堂々と求人を行うなどスパイの世界も様変わりしているようです。このMI6が一躍有名となったのは、元MI6局員だったIan Fleming原作の、諜報員James Bondを主役とする007シリーズの小説と映画によるものでしょう。Flemingは1964年に亡くなり原作小説の方は12作で終わってしまっているようですが、映画の方はその後も原作小説を下敷きに新たな脚本が書き加えられ、21作目となる「カジノ・ロワイヤル」が今日から公開されています。

Casino Royaleは小説ではシリーズ1作目の作品なのですが、今回はJames Bond役の主演俳優もPierce BrosnanからDaniel Craigへと交代して若返り、回を重ねるごとに派手になる一方であったアクションシーンを控えめに、スパイものとしての原点回帰を狙ったものであり、これまでと比べてハードボイルドな作品となっています。特にDanielはまだ30代の若さで、作品中では鍛え上げられた肉体を披露していますが、敵を追って走る姿などはかなり様になっており、これまでのどのJames Bondよりも硬派な感じがして好感が持てます。原作小説の1作目ということで、この作品ではJames Bondが「00ライセンス」を得て”007″になりたての時期を描いているのですが、それにふさわしい初々しさも感じることができ、キャスティングは大成功と言えるのではないでしょうか。
Eva Green (Casino Royale)
また007といえばいわゆる「ボンドガール」がつきものですが、この作品ではEva GreenがJames Bondのパートナーを演じています。このEvaがまた非常に美しく、007も彼女には惚れるだろうと納得できてしまいます。カジノでドレスアップした姿は見とれてしまうほどですが、ホテルの部屋で見せる自然な表情もとてもチャーミングでした。

ストーリーもなかなかひねりのある設定で楽しめるのですが、観終わってつくづく感じたのはやはり007は娯楽映画の最高峰であるということです。豪華なセットやロケ、大がかりなアクションには非常に金がかけられているのがわかりますし、最初から最後までハラハラドキドキ、それでいて肩の力を抜いて楽しむことができてしまうのです。私は子供の頃からテレビなどで観ておそらくシリーズの全ての作品を楽しんできましたが、どれをとっても007シリーズ以外の何物にもない楽しさがありましたし、この作品もそれを正当に受け継いでいるのではないかと思います。今回のCasino Royaleはこれまでの007ファンであれば間違いなく大満足の作品ですし、それほどJames Bondに馴染みがないという人でも十分に楽しむことができ、その上さらに続きを早く観たいという気になってしまうことでしょう。

私個人としては、シリーズ最高傑作であると断言したいところです。

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