いい映画、観てますか?
Thomas Edisonが映写機を発明してから100年あまり、世界中では数え切れないほどの映画が生み出され、ある作品は多くの人に感動を与え、またある作品は誰にも見向きもされずに消えていったことかと思いますが、そんな世間での評価とはまた別に、観た人それぞれにその作品にまつわる思い出や考えたことなどがあることでしょう。あまたいる評論家のように、各作品の内容について批評するのではなく、そんな映画にまつわるエピソードなどを綴る「映画エッセイスト」を自称する永千絵氏の「親子で映画日和 – 子どもと映画を楽しむために」という本を読んでみたのですが、これは映画好きには非常に共感でき、また著者がどれだけ映画を愛しているかが伝わってくる、楽しい著作でした。
著者は永六輔氏の長女らしいのですが、その父よりも母と妹と映画を観に行くことの多かった著者が、娘として、また自分自身も二児の母として、親子にとっての映画との関わり方をテーマに16のエピソードを綴っています。それぞれのエピソードではいくつもの映画に触れられていますが、それぞれの作品についてはあまり深く掘り下げることはなく軽く触れられているだけなので、その映画を観た人にとっては「うんうん」と頷けるものであっても、まだ観ていない人には「ふーん」という程度のものです。
しかし、これだけ沢山の映画を観てきた人が取り上げるだけの作品ということで、その作品に関する興味は俄然湧いてきます。紹介されているのは「西部戦線異状なし」から「ウォンテッド」まで時代もジャンルも実に幅広く、この全てを制覇している人こそ本当の映画好きと言えるのかもしれません。残念ながらこれらの映画のうちで私がすでに観たというのは半数にも満たないので、TSUTAYAに行って「次は何を観ようかな~」と思った時に観られるようにチェックしておきたいと思います。ただ、名作と言われる映画であっても、TSUTAYAには必ずしも置かれていないのが問題ではあります。
一応私も映画を観る度にこんなところで拙い感想文を書いているわけですが、やはり映画を観るとそれぞれに何らか考えることはあり、それはその日映画を観る前の出来事と関連していたり、映画の内容そのものと実体験がリンクしていたりと様々です。それは全くの私事だったりもするので必ずしも公開できるものではなかったりもしますが、単に「あ~面白かった」だけではないのが普通ですね。この本を読んで、これからはそんな「考えたこと」についてもできる限り残していきたいという気になりました。
ちなみに私自身が映画好きであるのも両親の影響があるのかもしれませんが、私の息子たちも頻繁に自宅でDVDを観ています。今のところポケモンなどのアニメを観ていることが多いようですが、SFもよく観るのはまさしく私の影響でしょう。ただ、私が面白かったと思う作品であっても、ちょっとでもセクシーなシーンがあったりすると小学生にはまだ見せられませんから、早く大きくなって一緒に楽しめるようになって欲しい、なんてことも思いますね。そのあたりは著者も言っていて、
どんな映画を観るにしても、高校生くらいまでは親が一応の判断を示してやるべきではないかと思う。一緒に観られるか、別々にでも同じものが観られれば、それが一番良いのだろうけれど、これはまだ早すぎたのかな、ちょっと問題ありだな、と思ったときに、あとからでもうまくフォローしてやれる親になれたら、と思う。
というのも共感できるところです。