WantedKill one, save a thousand.

この夏は私好みの作品が多いのか、単に私の中の閾値が下がっただけなのかよくわかりませんが、「これは劇場で観たい」と思うような映画が多いような気がします。それは本当なら嬉しいところなのですが、そうそう頻繁に映画館に通える身分でもないのでちょっと困っています。そんな中でおそらく以前なら「DVDでもいいかな」と思っていたであろう「ウォンテッド」を昨晩観てきたのですが、「やはり映画は劇場の大スクリーンと優れた音響設備で観たい」と思う作品でとても楽しむことができました。

ストーリーは、職場では上司のいじめに遭い、一緒に暮らす彼女は親友に寝取られ、人生の何もかもにうんざりしていた主人公にある日突然妖しい美女が近づいてきたと思ったら殺し屋の襲撃に遭い、その美女に助けられたと思えば暗殺集団のメンバーに招かれ、理不尽に苦しい訓練を乗り越えて…というような感じです。この作品はあくまでアクションとSFXを楽しむものなのであまり複雑なストーリーは不要かとも思いますが、あらすじは単純なよくあるものながらところどころの演出が凝っているような気がします。

しかしやはり見どころはSFXを目一杯活用した現実を遙かに超越したアクションです。現実味というものは端から無視しているのではないかと思いますが、冒頭のビルの屋上のアクションシーンはマトリックスの世界かと思うようなファンタジーです。また予告にも出てくるカーアクションの派手さも相当なものですが、これはファンタジーなのだと思うと逆に安心して見ていられるのだから不思議なものです。

この作品を監督しているのは「ロシア版マトリックス」などと呼ばれている「ナイト・ウォッチ」のTimur Bekmambetovだということなのですが、私は「ナイト・ウォッチ」も観たいと思いながらまだなので、今回「ウォンテッド」を観てからぜひとも観なければと思うようになりました。やはり異なる文化圏の出身ということもあるのか、演出に独創性が感じられるような気がします。そういえばレーティングが”R-15″の作品は久しぶりに見たような気がしますが、この映画にはどうしてもリアルなバイオレンス描写が不可欠でしょうから避けようがなかったでしょうね。
Angelina Jolie as Fox
主演はJames McAvoyAngelina Jolieです。Wesleyを演じるJamesはどこかで見たことがあるかと思ったらタムナスさんだったのですね。初めのうちの冴えないWesleyにはタムナスさんの優しい雰囲気が似合っているかと思いますが、その後逞しくなったWesleyにはどうだったでしょうか。一方Foxを演じるAngelinaは際だった美女というわけでもないのに圧倒的な存在感があるのはさすがで、この映画は彼女の映画だと言っても良いかもしれません。役柄としては準主役といったところのはずですが、完全に主役を食っているように感じました。

ということで期待以上に楽しむことができましたが、また観なければいけない映画が増えてしまいました。今後も観れば観るほど宿題が増えるような気がしてきましたが、「もう観る映画がない」などという日は一生来ないでしょうね。